●「遺言について」
こんにちは。弁護士の関です。
今月は「遺言について」を書いていきます。
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●相続人に財産を残す方法
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大家さんが所有している不動産や現預金などの財産を
お子様などの相続人に残す方法にはいくつかありますが、
その代表的な方法は「相続」です。
相続には、「遺言相続」と「法定相続」の二種類があります。
遺言相続とは、被相続人(亡くなった方)が相続の仕方について
「遺言」いう形で意思を表示している場合の相続の仕方をいい、
法定相続とは、民法が定めたルールに従った相続の仕方をいいます。
遺言を残すと、遺言のとおりに相続が行われますが、
遺言がない場合には、民法という法律のルールに従って相続が行われます。
また、法定相続の場合には、不動産についていうと、
一旦相続人間で共有となり、これを相続人間で話し合って
分けることになります。この話し合いを遺産分割といいます。
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●法定相続が不都合な場合
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お客様とお話ししていると、
「子どもたちは仲が良いので、話し合って分ければよく、遺言なんか必要ない」
などという方がいます。
もちろん、実際に、何の問題もなく遺産を分けるご家族もたくさんいますが、
そのようにうまくいく保証はありません。被相続人が亡くなった後、
突然、兄弟間で仲が悪くなり、遺産分割で長期間争いになることもあります。
遺産分割がうまくいかずトラブルになる可能性が高い例としては、
相続人の数が多い場合、音信不通の相続人がいる場合、
先妻の子と後妻など関係が良くない場合などです。
また、相続人は、被相続人にどのような遺産があるか細かく把握しておらず、
被相続人がなくなった後、遺産を確定するのに苦労するケースもあります。
遺言を作成しておくと、その作成の過程で自己の財産を洗い出しますので、
遺産の整理にもなります。
このように、自分の死後、相続人における遺産にまつわる
トラブルを回避するためには、法定相続ではなく、
遺言相続を選択することをお勧めします。
また、そもそも、法定相続では、
自分の希望を叶えることができないケースがあります。
例えば、内縁の妻や、長男の妻など、
相続人ではない方に遺産を残したい場合や、
逆に、兄弟が相続人のケースで、兄弟には残したくないという場合などです。
このような場合には、遺言相続を選択せざるを得なくなります。
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●遺言を残しましょう
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相続対策では、このようなトラブル回避の目的だけではなく、
贈与税や相続税といった税金対策も重要なポイントとなります。
また、その目的を達成するための方法として、
相続以外に、贈与や家族信託を選択することもあります。
ただ、財産を残す方法を考えるにあたって、一番大切なのは、
自分の財産を、だれに、どれだけ残したいかという「思い」だと思います。
この思いを実現するために、
是非、遺言を活用していただきたいと思いますが、
今回の特集では、これから遺言を残したいと考えている大家さんに向けて、
遺言の基本的なポイントについて説明したいと思います。
