『賃貸オーナー向けの火災保険について』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今週のテーマは、
【設備故障も水災もカバーする「特定機械設備の補償特約」とは?】です。
賃貸オーナーの皆さまへ。
最終回となる今回は、意外と見落としがちな
「設備故障」への備について解説します。
災害や経年劣化による損害とは別に、
「突発的な設備トラブル」は
賃貸経営に大きな支出をもたらすリスクです。
特に今回は、
●建物電気的・機械的事故特約
●特定機械設備水災補償特約
という2つの特約に注目します。
◆ 火災や風災でなくても設備は壊れる
賃貸物件に備え付けの設備が、火災や落雷とは
関係ない故障で動かなくなる。
これはよくある話です。
例えば
✔エレベーターの制御盤が突発的に故障し、80万円以上の修理費
✔電気錠が反応せず、緊急開錠+部品交換で20万円以上の支出
✔給湯器がショートし、居住者全戸に断湯発生
これらは火災保険の「基本補償」だけではカバーできません。
そこで役立つのが、
「建物電気的・機械的事故特約」です。
この特約では、建物に固定された設備
(照明、換気、給排水、受水槽、火災報知器、自動ドア等)に対し、
突発的な事故による修理・交換費用が補償されます。
◆ 「特定機械設備水災補償特約」はさらに重要
そして、もっと知られていないが非常に有効なのが、
「特定機械設備水災補償特約」です。
これは、受水槽、配電盤、
昇降機(エレベーター)などの機械設備が、
水災によって損害を受けた場合に、
火災保険で補償されるよう上乗せする特約です。
実は火災保険の通常の「水災補償」では、
建物本体や家財は対象でも、
これらの“機械設備”は補償対象外となることが多いのです。
▶ こんなときに有効
✔地下にある受水槽が豪雨による浸水で破損
✔分電盤が水没して物件全体が停電
✔エレベーターの機械室が冠水して部品交換が必要に
水災リスクが高まる昨今、
この特約の有無は100万円単位の損失に直結する可能性もあります。
◆ 「知らなかった」では済まされない修繕費の現実
火災保険を見直すとき、
特約の組み合わせで補償が大きく変わることは、
第1週目から繰り返しお伝えしてきました。
設備故障や水災による機械破損は、頻度こそ低いものの、
起きれば高額かつ突発的な支出になります。
管理会社任せでは済まされず、
経営者であるオーナーの責任が
問われる場面も増えています。
◆ 4回連続特集の振り返り:経営と安心の“ダブルガード”を
これまでお届けしてきた
「火災保険の見直しシリーズ」を振り返りましょう。
【第1回】水災リスク
床上浸水による損害は火災保険の基本補償では不十分。
特に設備故障も加味して対策が必要。
【第2回】地震火災リスク
地震火災費用特約を組み込むことで、
全焼時でも実損の50%を追加補償。オーナーの備えとして必須。
【第3回】漏水と賠償責任
入居者起因でも、オーナーが責任を負うケースも。
所有者賠償・居住者包括賠償特約で示談も含めて対応。
【第4回】設備故障と水災への二重補償
建物電気的・機械的事故特約で設備トラブルに対応し、
特定機械設備水災補償特約で豪雨時の修繕費も備える。
◆ 「賃貸経営保険」としての火災保険へ
賃貸経営にとって火災保険は、「万が一の備え」ではなく
日常のリスクを抑える経営ツールです。
今、見直すことが未来の損失を防ぎます。
4回の特集が、皆さまの経営判断の一助となれば幸いです。
