●「遺産分割について」
こんにちは。弁護士の関です。
今月は「遺産分割について」を書いていきます。
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●⑤分割方法の確定(現物分割、代償分割、換価分割、共有分割)
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前回までにご説明した、①相続人の確定、
②遺産の範囲の確定、③遺産の評価の確定、
④具体的相続分の確定(寄与分、特別受益)を経て、
ようやく⑤分割方法について話し合いをすることができます。
分割方法は4つあります。
A 現物分割
B 代償分割
C 換価分割
D 共有分割
それぞれ説明します。なお、次に述べる例は、
相続人が長男・長女の二人のみとした場合です。
A現物分割は、個々の財産の形状や性質を変更することなく
分割する方法をいいます。
例えば、長男が現預金3000万円、
長女が預金500万円と2500万円の価値の
土地建物を取得する場合や、
遺産が土地(更地)一筆しかない場合には、
価値が等分になる線で分筆し、
長男・長女がそれぞれを取得するような場合です。
それぞれの取得希望を確認し、まずは、現物分割ができないかを試みます。
B代償分割は、一部の相続人に法定相続分を超える額の
財産を取得させた上、
他の相続人に対する債務を負担させる方法です。
例えば、遺産が実家の土地建物(5000万円の価値)しかなく、
長女が居住して、この土地建物の取得を希望したとします。
長女がこの土地建物を取得するとして、長女がもらいすぎている
(法定相続分を超える)2500万円分の代償金を、
自分の財産から長男に支払うような方法です。
現物分割でうまく分けられない場合には代償金で調整します。
C換価分割は、遺産を売却等で換金(換価処分)した後に、
価格を分配する方法です。
例えば、遺産が実家の土地建物しかなく、
長男・長女ともに現金で取得したい場合に、
二人で協力して、この土地建物を売却し、
手数料等を控除した残金を、
2分の1ずつ分け合うという方法です。
一緒に売却するのですから、
相続人間の信頼関係がないと難しい方法です。
D共有分割は、遺産の一部又は全部を具体的相続分による
物権法上の共有取得とする方法です。
例えば、遺産の一部が賃貸ビルの場合に、
長男・長女がこのビルを持分2分の1ずつ共有で取得し、
以後、共有不動産としてビルを二人で管理していくようなケースです。
共有は、その管理方法で揉めることがあり、
共有分割は、
合理的な理由がある場合以外は、
できる限り避けたほうがよいかと思います。
以上、4回にわたり、遺産分割の基礎知識についてご説明しました。
遺産分割は残された相続人間で揉める要素が多いため、
法定相続・遺産分割を選択するのではなく、
遺言、生前贈与、遺言信託等を活かして、
生前に、自らの遺産の承継方法を考えておかれるとよいと思います。



