投資用不動産を
売却すべきタイミングの見極め方について
ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
先週は投資用不動産を売却すべき5つのポイントについて
お伝えしました。
今週は、保有を続けた場合と売却した場合で、
実際にどれだけ収支が変わるのか、
正確に計算する方法を解説いたします。
感覚的な判断ではなく、
具体的な数値による比較が、
後悔のない選択につながります。
■ 保有継続10年間の累計収益の算出方法
投資用不動産の保有を継続する場合、
今後10年間でどれだけの収益が
見込めるか正確に把握することが重要です。
まず年間家賃収入から
空室損失を差し引いた実質収入を計算します。
例えば、月額家賃10万円の物件で年間稼働率90%なら、
10万円×12ヶ月×0.9=108万円が年間実質収入となります。
次に必要経費を算出します。
建物管理費、修繕積立金、
固定資産税・都市計画税、
火災保険料などが主な項目です。
築年数が経過するほど修繕費と
火災保険料は増加傾向にあるため、
10年間の試算では段階的な
上昇を見込む必要があります。
さらに、ローン返済がある場合は
元金返済額と支払利息を年度ごとに計算し、
減価償却費の計上可能額も確認します。
これらを総合して下記の計算式で、
10年間の累計キャッシュフローを算出できます。
【10年間累計キャッシュフロー計算式】
(家賃収入-空室損失)-(必要経費+ローン返済額)+減価償却による節税効果
この数値が売却時の手取り額を上回るかどうかが、
保有継続の判断基準となります。
■ 売却手取り額の正確な計算方法
投資用不動産を売却する際、
売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。
各種費用と税金を差し引く必要があります。
1. 譲渡所得税
最も大きな支出となるのが譲渡所得税です。
保有期間5年超の長期譲渡は20.315%、
5年以下の短期譲渡は
39.63%の税率が適用されます。
譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。
建物部分の取得費は
減価償却後の残存簿価を使用する点に
注意が必要です。
2. 仲介手数料
仲介手数料は売却価格の3%+6万円(税別)が
上限となり、30万円(税別)が下限となります。
税抜の売却価格が5,000万円の物件なら
約170万円の費用が発生します。
3. その他諸費用
売買契約書の印紙代は売却価格により異なり、
1億円以下なら3万円から6万円程度です。
(電子契約の場合は不要)。
その他、抵当権抹消登記費用、
住所変更費用なども必要に応じて発生します。
【売却手取り額の計算式】
売却価格- 仲介手数料 - 印紙代 - その他諸費用 - 残債- 譲渡所得税
■ 計算シミュレーション事例
【物件条件】
・売却価格:5,000万円
・取得費(減価償却後):3,000万円
・譲渡費用:200万円(仲介手数料等)
・保有期間:7年(長期譲渡所得適用)
・残債:2,000万円
【売却手取り額の計算】
譲渡所得:5,000万円 - 3,000万円 - 200万円 = 1,800万円
譲渡所得税:1,800万円 × 20.315% = 約366万円
手取り額:5,000万円 - 200万円 - 2,000万円 - 366万円 = 約2,434万円
この手取り額2,434万円と、
保有継続した場合の10年間累計キャッシュフローを
比較することで、最適な判断ができます。
【今週のポイント】
・保有継続は10年間の累計キャッシュフローで計算
・売却時は諸費用を含めた正確な手取り額を算出
・両者を数値で比較して判断する
来週は、売却価値を最大化するための準備方法をお届けします。



