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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第325回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!③

「入居者募集戦略上の家賃設定」

皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田です。

家賃設定が賃貸経営にとって重要なのは言うまでもありません。
そこで今回は、入居者募集をするときの家賃設定について前回の続きを書いていきます。

7.募集家賃の考え方

募集家賃を設定するときに、最初に、
退去した入居者の家賃が、現状の家賃相場に対して、
高いのか安いのかを把握します。
その上で家賃に対する考え方を明確にします。
誰でも、短期間で高い家賃で入居者を決めたいと考えます。
しかし、家賃の現状維持をしたいと考えても、
募集前の入居者の家賃が、現状の家賃相場より高い場合は、
同じ家賃額で募集すると、
事実上値上げするのと変わらないため入居者確保が困難になります。
募集家賃を相場に対して安く設定すると、
早期に入居者が決まる可能性は高くなります。
逆に高く設定した場合は、入居者が決まるまでに
時間がかかることになります。
募集家賃の考え方は次の3つに集約されます。

(1)家賃は下がっても、早期に入居者を決めたい
(2)時間がかかっても、家賃を現状維持(値上げしたい)
(3)ある程度の家賃の値下げをして入居者を確保する((1)と(2)の中間)
どの考え方が良いのかは、大家さんの個人の事情により判断することになります。

8.共益費・管理費と初期費用

募集家賃設定時は、共益費・管理費などの家賃とともに
毎月支払ってもらう費用と入居時に支払う敷金礼金、
仲介手数料などの初期費用についても同時に検討する必要があります。

(1)共益費・管理費
入居者の立場では共益費・管理費は、
毎月支払う家賃と同じように感じるため、
募集家賃を設定する際は、家賃と共益費・管理費を合計して検討するようにします。

検討した結果を再度、
家賃と共益費・管理費に分けて募集広告に掲載します。
以前は、家賃と共益費の合計が7万円の物件を、
募集広告では「家賃5万円、共益費2万円」と掲載し、
家賃を安く見せる設定を見かけましたが、
入居者募集上効果はあるかは疑問です。

(2)初期費用
最近は、物件を探している人の間で
「初期費用は値切れる」といような情報が広まっており、
初期費用を気にする人が増えています。
募集家賃の設定と一緒に、契約時に
必要な費用に関しても意識する必要があると思います。
契約時に入居者さんが負担する初期費用は、敷金・礼金のように、大家さんの手元に入るものと、
仲介手数料、火災保険料などの大家さんの収入と関係ない費目に分けられます。
しかし、入居者からみると、誰の収入かは関係なく、
初期費用の金額も物件を決める判断に影響すると思います。
敷金は、大家さんの収入ではなく、
家賃の支払いを担保するための預り金です。
最近は、家賃債務保証会社が普及したため、
家賃債務の担保としての意味が薄れつつあるため、
敷金の設定のない物件が増えてきました。
また、退去時の敷金返金トラブルが増えたことも、
敷金なしの物件が増えた理由のひとつだと思います。
仲介手数料は、以前は入居者が家賃の1ヶ月分を負担するのが一般的でしたが、
最近は入居者の負担は、家賃の半月分や仲介手数料負担なし、
という物件も増えてきました。
入居者の仲介手数料としての負担が少なくなった分を
大家さんが負担するようになってきました。

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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