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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第367回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!②

賃貸住宅に長期修繕計画は必要か

皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田です。

前回の続きを話していきたいと思います。

 3.長期修繕計画の対象となる修繕内容は

長期修繕計画の対象となる修繕としては、
外壁塗装や防水工事などの大規模修繕工事を思い浮かべる人が多いと思います。
外壁塗装工事の他にも、給排水管、消防設備、
エレベーターなど設備系の修繕も対象となります。
建物全体に関わり、実施する周期が1年以上になり、
費用が高額となる修繕が長期修繕計画の対象と考えるのが一般的です。

・共用部だけで良いのか
分譲住宅では、専有部は区分所有者の責任で修繕するため、
専有部に関する修繕は長期修繕計画には盛り込みません。
一方 賃貸住宅では、専有部に関しても、
オーナーの責任で修繕する必要があります。
そのため、専有部の修繕も賃貸住宅の長期修繕計画に盛り込んだ方が良いと思います。
特に、給湯器とエアコンは更新時期が重なることが多く、
一時期に多くの費用負担をすることになるため、
長期修繕計画に落とし込み、必要な資金を準備しておきます。

・バリューアップの費用も
一般的に、賃貸住宅は経年変化に伴い、
設備や間取りなどが陳腐化していき、稼働率の低下、
家賃の下落を招き、収益が悪化します。
収益の悪化対策の一つとして、計画的に物件のバリューアップを実施することが有効だと思います。
そこで、バリューアップに関わる費用も長期修繕計画に盛り込むようにします。
バリューアップの中でも、自転車置場、宅配ボックス、
インターネット設備などの、共用部に関わるものは、
計画的に実施することが可能で、計画に落とし込むことが容易です。
一方、キッチンの入れ替えや間取り変更などは、
入居中に実施することはできず、入退去が実施のタイミングです。
入退去のタイミングを把握するのは困難なので、
計画に落とし込む上では工夫が必要です。

賃貸住宅の長期修繕計画は、
共用部や大規模修繕工事だけでなく、
専有部の設備修繕・更新なども長期修繕計画に落とし込み、
工事に必要な資金を把握します。
資金を把握し準備することで、タイムリーな修繕が可能になります。
また、バリューアップに関する費用も含めた、
長期修繕に必要な費用を把握し、
事業計画に落とし込むことで、事業計画の精度をアップします。

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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