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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第408回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!③

建物の傾きについて

こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
前回は住宅診断の必要性について
記載させていただきました。
今回は建物の傾きについて
記載させていただきます。

●建物の傾きの発見のポイント●
建物の傾きは、建物のズレを起こし、
隙間を発生させます。
そのような隙間がある建物は、
新築でも雨漏りを起こしてしまいます。
雨漏りは我慢すれば良い、
昔のドリフのように雨漏りを受けるバケツを用意し、
その音を楽しめばいいんじゃない!
と思われる人もいるかも知れません。
しかし、建物にとって水は大敵です。
その湿気から、
シロアリにとり好まれる環境が作られます。
そのシロアリにより土台や柱等を駆逐されてしまいます。
また、湿気から腐朽菌の原因になったり、
肺などを害することにも繋がります。
そのような建物の発見方法は
以下の通りとなります。

①建具(ドア、サッシなど)の開閉と
②床の傾きが挙げられます。

【①建具(ドア、サッシなど)の開閉】
一番簡単に確認する方法として、
建具の開閉を確認するそのものと考えられます。
ドアやサッシの開け閉めをして、
その開け閉めができない場合や、
隙間が異常に空いてしまう場合があります。
特に、サッシを閉じる側の反対側へと、
可能な限りサッシを開けることにより、
そのサッシとサッシ枠とが平行である場合には、
一般的にその部分における建物の傾きは
少ないと考えられます。
それらを全てのサッシで行うことが、
建物の傾きが、大雑把とはなりますが、
手っ取り早くわかる方法と言えます。
但し、建具の問題や戸車の問題もありますが、
100%ではないことをご了承下さい。

【②床の傾き】
次に、床の傾きを確認することが挙げられます。
床の傾きは、オートレーザーが正確で、
専門家にご依頼されるとよいと思われます。
ですが、皆様ができる方法としまして、
ホームセンター等にて、
数千円程度で水平器が購入できます。
水平器には長短があります。

あくまでその水平器の長さを前提とした
水平や勾配が確認できることになります。

その水平器でもって、
傾きが6/1000を超える場合には、
何らかしらの原因で、
傾きが生じている可能性があると考えられます。

例えば3m(3000mm)について、
18mmを超える場合18/3000=6/1000になります。
6/1000超の場合には、施工不良も考えられますが、
雨水の浸入により土台や柱等が駆逐されていたり、
そもそも地盤が、
その調査時点以前の地震等により不同沈下を起こしていたり、
近くでマンションを建築し、それにより、
地下での地下水の水脈が変わり地盤沈下を
起こすといった原因なども稀にあります。
但し、必ずしも6/1000を超えている、
またはその近似値が出るといった場合でありましても、
「常にその部分のみ重い書籍があった。」
「その場所が、生活上の動線で頻繁に行き来していたなど、
使用頻度が高い。」
といった場合には、建具が経年により、
へたってしまっていることも多々ありますので、
ご不明な場合には、
専門家へお尋ねしてもよろしいかと思われます。
また、もう一つ、実は重要なのが、
五感をフル活用しての調査になります。

「ご自身の足で立ってみて」

で傾きも分かってくることもあろうかと思われます。
私は、内覧調査の際には、
スリッパは履かずに調査をしております。
それにより、建物内部の感覚を
より掴むことができることが多いからです。
非破壊検査である以上、全ての五感をフル活用し、
調査をしております。

今回は、雨漏りの原因にもなりうる建物の傾き発見の
ポイントにお伝えさせていただきました。

皆様のお持ちの物件の資産形成の一助として
ご活用いただきまして、
少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきまして、
誠にありがとうございます。
以上

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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