渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第192回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q父に相続がありました。
家族は母と私と弟です。
相続の手続きで、父が生まれたときから
死亡するまでの戸籍の取得を求められました。
相続人は家族で確定しているのではないでしょうか?
A
相続手続きを進める上で、最も重要なことが相続人の特定です。
一見簡単に思えるこの作業が、実は多くの落とし穴を含んでいます。
それは「隠れた相続人」の存在です。
相続人が特定されないまま遺産分割協議をしても
無効になりますので、事前に確認が必要です。
1.隠れた相続人
隠れた相続人とは、被相続人(亡くなった方)の戸籍上に記載されていなかったり、
記載されていても読み取りが困難であり相続人であることが
一見わからない、見落としがちな相続人を言います。
具体的には次のような場合です。
(1)婚外子(非嫡出子)
認知の記載がある場合、その子は相続人となります。
戸籍に記載がなくても、死後認知という手続きがあります。
認知を求める子が、父親の死後3年以内に、
父親の最後の住所地を管轄する
検察庁の検察官に対して訴えを提起し、
これが認められると、出生時から父親の子どもであったと見なされます。
また、遺言書に記載しておくことで認知をすることができます。
遺言者が亡くなった時点で認知の効力を生じます。
相続人が増えることになりますが、
こちらも生前には戸籍に記載されていないのです。
なお、嫡出子と非嫡出子との法定相続分は平等です。
以前は、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、
最高裁判所の違憲判断を受けて民法改正がありました。
(2)養子縁組
養子縁組をしていれば、その人も相続人になります。
また、自分の子を養子縁組に出していたとしても、
実親との親族関係は切れず、法定相続人になります。
(3)離婚後300日以内に生まれた前夫の子
離婚後300日以内に生まれた子は、法律上前夫の子と推定されます。
この場合、前夫の相続人となる可能性があります。
(4)代襲相続人
代襲相続人とは、本来相続人となるはずだった人が
相続開始前に死亡していた場合や相続権を失っていた場合に、
その人に代わって相続する人のことです。代襲相続人となる範囲は次の通りです。
・死亡した相続人の直系卑属(子や孫)
・死亡した兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)
(5)半血兄弟姉妹
半血兄弟姉妹とは、
父または母の一方だけが同じである兄弟姉妹のことです。
いわゆる「異母兄弟」や「異父兄弟」です。
半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹(父母両方が同じ兄弟姉妹)の
相続分の2分の1と定められています(民法900条4号)
2.相続人調査の注意点
隠れた相続人の存在を事前に把握するためには、
被相続人の戸籍情報を調査するにあたって、次の点に注意して精査します。
・婚姻歴
・離婚歴
・養子縁組の有無
・認知の記載
・出生子の記載
戸籍の読み方や法的解釈には専門的な知識が必要な場合も多々あります。
不安な点がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
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