東京の中心で税務を叫ぶ 第172 回コラム
信託契約を結んだ財産は、相続税申告で「未分割」にできる?
そもそも信託契約を結んだ財産は、相続税申告で「未分割」にできる?
について、お話しします!
こんにちは!
今回は信託契約と遺産分割についてお話します。
結論として、信託契約で
「この財産は、私が亡くなったら○○に渡す」と決めてある財産は、
相続税の申告で「未分割(まだ分け方が決まっていない)」
として申告することはできません。
なぜ「未分割」にできないのか、簡単なイメージで説明します。
・普通の相続
亡くなった方の財産は、相続人全員で
「誰が、何を、どれくらいもらうか」を話し合って決めます
(これを遺産分割協議といいます)。
この話し合いが相続税の申告期限までに終わらない場合、
「まだ分け方が決まっていません」という意味で、
未分割として一旦申告します。
・信託契約がある相続
信託契約は、財産の分け方をあらかじめ契約として
ガッチリ決めておく制度です。
亡くなった瞬間に、契約書どおりに
財産の行き先が自動的に決まります。
つまり、相続人が集まって話し合う必要がなく、
相続開始と同時に「分割済み」の状態になります。
分け方が決まっていない未分割の状態にはなりようがない、
というのが理由です。
なお、前回のコラムでお話した通り、未分割申告だと、
小規模宅地の減額などの特例が使えなくなりますが、
信託契約で分割が決まっていれば、
特例を使って申告をすることができます。
ちなみに「遺言書でも分け方を指定できるよね?」と
思うかもしれません。
そこで、信託契約と遺言書のちがいについても
簡単に触れておきます。
遺言書:相続人全員が合意すれば、
遺言と違う分け方をすることも可能です。
信託契約:法的な契約なので、
相続人が勝手に内容を変えることは原則できません。
確実に、自分の意思どおりの財産承継が実現できます。
したがって、信託契約は遺言書よりも
拘束力が強いのが特徴です。
まとめ
①信託契約されている財産は、未分割申告はできません。
②信託契約は、遺言書より強い効力があります。
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