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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第八回「借入金の返済方法でキャッシュフローや金利が変わる?」

借入金は、当然のことながら元金と利息の合計額を毎月返済していきます。今回その返済の仕方で収益に大きな影響が出るということを説明します。

1.返済方法は2種類

(1)元利均等返済と元金均等返済

 借入金は元金と利息の合計金額を返済していきます。返済金額が一定、すなわち返済する元金と利息の合計が最初から最後まで同じ金額という返し方を元利均等返済と言います。つまり、最初のうちは金利の返済額が多く、後半になると元金の返済額が増えていくという形になります。
元金均等返済というのは、最初のうちは金利の返済額が多いのは元利均等返済と同じですが、最初から最後まで元金の返済額が一定なので、最初のうちは返済額合計が多くなり、支払う金利が減るに従って返済額が減っていくというものです。

(2)利息の支払い総額は元利均等返済の方が多い

 一つの例として、5,000万円金利1.5%固定で25年返済のローンを考えてみます。
元利均等返済の場合、毎月241,272円を240回払うので、返済総額は57,905,341円、利息合計は7,905,341円になります。一方元金均等返済の場合、最初は270,833円の返済からスタートして最後の240回目は208,673円まで毎月少しずつ返済額が減っていきます。この場合、返済総額は57,53,143円、利息合計は7,531,143円となりますから、早く元金を返す元金均等返済の方が、トータルで374,198円だけ利息が少なくなります。
つまり、まったく同じ条件ですと、最初のうちに元金を多く返す元金均等返済の方が、支払う利息は少なくてすむということいなります。

2.どっちが有利?

(1)返済期間と減価償却費も忘れずに

 では元金均等返済の方がすべて有利かというと、そうでもないところが大家業の難しいところです。返済するにつれて支払金利が少なくなるということは、それだけ経費が少なくなるということです。逆に言うと、利益が多くなるので、その半面、税金が高くなるということでもあります。また、返済額を抑えるために返済期間を長くすると、それが購入物件の耐用年数より長くなると今度は減価償却費が無くなってこれまた利益が増加してしまいます。つまり、借入金の返済には、金利や返し方(支払額)はもちろん、返済期間も考慮しなければなりません。

(2)そもそも銀行がローンを組んでくれないことも

 私は、個人的には後半になって返済額と金利負担が減る元金均等返済が好きなのですが、不動産融資では、そもそも銀行が元金均等返済ローンを組んでくれない場合があります。
また、銀行は元利均等返済だと金利を低くすることもありますし、元金均等返済だと固定金利で貸してくれない場合もあります。常に全体を見て、ケースバイケースで判断するしかないところが、大家業の難しいところでもありますが、醍醐味でもあると言えましょう。

3.まとめ

借入金の知識は大家業にとって不可欠なものです。金利が低ければなんでも良いというわけではないことを念頭に置いて日々の業務に取り組みましょう。

ABOUT ME
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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