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管理委託契約の金額相場は? ~分譲マンション投資の魅力~

管理委託契約の金額相場は?
~分譲マンション投資の魅力~
 

分譲マンション投資において、
管理委託契約書は必ず確認すべき重要書類の一つです。
しかし、多くの投資家が見落としがちなのが、
その契約金額が「適正かどうか」という視点です。
管理委託費が高すぎれば無駄なコストが利回りを圧迫し、
安すぎれば管理の質が低下して資産価値の毀損につながります。
今回は、管理委託契約の金額相場について、
業務項目ごとの内訳とともに解説します。

1.管理委託契約の全体像
管理委託契約とは、管理組合が管理会社に対して、
マンションの維持管理業務を委託する際の契約です。
契約に含まれる業務は大きく分けて、
事務管理業務、清掃管理業務、
建物・設備管理業務の3つの柱で構成されています。

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、
管理費収入の全国平均は1戸あたり月額11,503円です。

この管理費のうち、大部分が
管理会社への委託費として支払われています。
ただし、管理費には共用部の電気代や水道代などの
実費も含まれるため、
管理委託費そのものは管理費よりもやや低い水準になります。

ある業界調査では、
管理委託費の全国平均は1戸あたり
月額約8,400円という数値も示されています。
つまり、管理費のうちおよそ7割前後が管理会社への
委託費に充てられていることになります。

2.業務項目別の金額相場
管理委託契約を評価する際に最も重要なのは、
「一式いくら」ではなく、業務項目ごとの内訳を確認することです。
マンション管理業協会も共通見積書式を公開しており、
内訳を分解して比較する考え方を推奨しています。

(1)事務管理業務
事務管理業務とは、
管理組合の会計処理、
出納業務、総会・理事会の支援業務、
各種届出対応など、
マンション管理の事務全般を指します。
いわば管理会社の「頭脳」にあたる業務です。

相場の目安は、1戸あたり月額1,500円〜2,500円です。
戸数が少ないマンションほど1戸あたりの
負担は大きくなる傾向があります。
30戸以下の小規模マンションでは上限に近い水準となり、
100戸を超える大規模マンションでは
下限に近づきます。

事務管理業務費が極端に安い場合は、
会計報告の頻度が少なかったり、
理事会への出席が省略されていたりする可能性があります。
契約内容と照らし合わせて確認することが大切です。

(2)清掃管理業務
清掃管理業務は、
マンションの共用部分の日常清掃と定期清掃を指します。
エントランス、廊下、階段、
ゴミ置き場などの清掃が含まれ、
物件の「見た目年齢」を大きく左右する重要な業務です。

清掃費用は勤務形態によって大きく異なります。
週5日・1日4時間勤務の場合は月額10万〜12.5万円、
週6日・1日7時間勤務の場合は月額20万〜25万円が目安です。

勤務日数と時間数によって
費用は連続的に変動しますので、
自身の物件の清掃仕様と照らし合わせて評価してください。

清掃費用を見る際のポイントは、
日常清掃の頻度だけでなく、
定期清掃(床のワックスがけ、高圧洗浄など)
が含まれているかどうかも確認することです。
定期清掃が別途費用になっている場合、
年間の総コストで比較する必要があります。

(3)建物・設備管理業務
建物・設備管理業務は、
建物の点検や設備の保守管理を行う業務です。
管理員が常駐または巡回で
建物の状態を確認するとともに、
各種法定点検の手配や立会いも含まれます。

管理員業務については、
清掃業務と兼務するケースが多く、
その場合の人件費は
時給1,500円程度が基準となります。

管理員の勤務形態(常駐か巡回か、週何日か)に
よって月額費用は大きく変わりますので、
勤務条件を確認したうえで妥当性を判断してください。

建物・設備点検については、
マンションの規模によって1回あたりの費用が異なります。
総戸数40戸程度のマンションで
1回あたり4万〜6万円、
80戸程度で6万〜8万円が目安です。
年間の実施回数と合わせて、
年額ベースで評価することが重要です。

エレベーター保守は、管理委託費の中でも金額が大きく、
契約形態によって費用が大きく異なる項目です。
保守契約には「フルメンテナンス契約」と
「POG(パーツ・オイル・グリス)契約」の2種類があり、
それぞれメーカー系と独立系で相場が分かれます。

フルメンテナンス契約は、
部品の交換費用まで含まれた包括的な契約です。
一方、POG契約は消耗品の交換のみが対象で、
大きな部品交換は別途費用が発生します。
目先のコストだけで判断すると、
POG契約で独立系に切り替えた結果、
大規模な部品交換時に多額の費用が発生するケースもあります。
エレベーターの築年数や使用頻度を考慮して、
適切な契約形態を選択することが重要です。

3.規模・築年数による相場の違い
管理委託費の相場は、
マンションの規模(総戸数)と築年数によって大きく異なります。
国土交通省の調査データから、それぞれの傾向を見てみましょう。

小規模マンションほど1戸あたりの
管理費負担が大きくなります。
これは、管理員の人件費や事務管理費などの
固定費を少ない戸数で割ることになるためです。

30戸以下の小規模マンションでは、
全国平均の約1.22倍の管理費がかかっています。
投資判断の際は、
この規模による割高感を織り込んで
利回りを計算する必要があります。
なお、301戸以上でやや上昇するのは、
超大規模マンションでは共用施設が
充実している物件が含まれるためと考えられます。

新しいマンションほど管理費が高い傾向にあります。
これは、オートロックや宅配ボックス、
機械式駐車場など共用設備が充実していることに加え、
管理サービスの水準自体が高く設定されている場合が多いためです。

築古物件の管理費が低いからといって
管理の質が低いとは限りません。
むしろ、必要十分なサービス内容で
効率的に運営されている可能性もあり、
投資物件としてはプラスに評価できるケースもあります。

4.まとめ
管理委託費の相場を知ることは、
マンション投資における「目利き力」を高める重要なステップです。
ただし、個別の物件ごとに管理仕様や設備の状況は異なります。
相場から大きく乖離している場合は、その理由を確認することが重要です。
高すぎる場合はサービス内容を精査し、
安すぎる場合は管理の質を現地で確認することが重要になります。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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