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賃貸借契約書が融資審査で果たす役割 ~分譲マンション投資の魅力~

賃貸借契約書が融資審査で果たす役割
~分譲マンション投資の魅力~

融資を受ける際に必要となる6つの物件資料のうち
今回は「賃貸借契約書」を取り上げます。
すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件を購入する場合、
必ず提出を求められる書類であり、
しかも融資審査の中で極めて重い意味を持ちます。

金融機関は、賃貸借契約書のどこを見ているのか。
なぜそこまで重要視されるのか。
順を追って解き明かしていきます。

1.賃貸借契約書とは何か
賃貸借契約書は、
貸主と借主が物件を貸し借りする条件を取り決めた契約書です。
賃料、共益費、契約期間、
敷金、解約予告期間、更新料、
特約事項など、
賃貸経営の前提となる条件がすべて記載されています。

分譲マンション投資で重要なのは、
オーナーチェンジ物件を購入する場合、
新オーナーは旧オーナーが結んでいた
賃貸借契約をそのまま引き継ぐ、という点です。

民法の規定により、
所有権が移転すると賃貸人としての
地位も自動的に承継されるため、
買主は契約の内容を一切変更することができません。

つまり、賃貸借契約書に書かれている条件こそが、
買った瞬間からの賃貸経営の出発点になります。

家賃が相場より安く設定されていれば、
その家賃が当面の収入となります。
退去予告期間が短く設定されていれば、
突然の退去リスクを背負うことになります。
これが新規賃貸との決定的な違いです。

さらに、不動産投資ローンの返済原資は、
基本的に家賃収入です。
住宅ローンが借主の給与から返済されるのに対し、
不動産投資ローンは物件そのものが
生み出す収益から返済されることが前提となっています。

ここで決定的に重要になるのが、
「この物件が本当にいくらの家賃収入を生んでいるのか」を
客観的に証明する書類です。

販売図面や物件概要書、
レントロールにも家賃は記載されていますが、
これらは不動産業者が作成する資料にすぎません。
実際にその家賃が現に支払われていることを
示す唯一の物証が、賃貸借契約書なのです。

2.金融機関が確認している具体的なポイント
では、金融機関は賃貸借契約書のどこを具体的に
見ているのでしょうか。
確認されるポイントは多岐にわたりますが、
特に重視されるのは次の五点です。

第一に、賃料と共益費の金額です。
これが収益還元評価の出発点となる数字であり、
申込書類に記載された家賃と整合しているかを
必ず突き合わせます。

周辺相場と比べて極端に高い場合は、
入居者退去後の再募集で家賃が下がるリスクを警戒します。
逆に相場より安すぎる場合は、
収益力の低さとして評価が下がります。

第二に、契約期間と残存期間です。
契約日から年数が経っているほど、
入居者が長く住み続けている安定した物件と評価されやすい一方、
契約満了が間近に迫っている場合は退去リスクとして警戒されます。
融資審査の段階で残り数か月という契約は、
特に注意深く見られます。

第三に、契約の形態です。
一般的な普通借家契約か、
契約期間満了で確実に終了する定期借家契約かで、
リスクの性質が大きく変わります。

普通借家は借家人保護が強く、
安定した収益が見込める反面、
賃料の値上げや明渡しが容易ではありません。
金融機関は契約形態を見て、
想定される収益の継続性を判断しています。

第四に、敷金の金額です。
敷金は売買にあたって売主から買主へ引き継がれる債務であり、
退去時には新オーナーから入居者へ返還する義務が生じます。

融資の実行時に売買代金から敷金相当額が清算されるかどうかは、
自己資金計画にも直結します。
金融機関は、
この清算が適切に処理される前提で
資金計画を組んでいるかを確認します。

第五に、家賃滞納リスクの担保です。
具体的には、保証会社が付いているか、
連帯保証人が存在するか、
滞納履歴はないかといった点です。
家賃保証会社が付いていれば、
滞納が発生しても代位弁済によって家賃収入が確保されるため、
金融機関の評価は格段に上がります。

これらに加えて、特約事項も丁寧にチェックされます。
ペット飼育の可否、
転貸の許可、原状回復の負担区分など、
特殊な取り決めがあれば、
将来の管理コストや退去時の費用負担に
影響するため、見過ごせない情報となります。

4.収益還元評価への直結
金融機関が物件を評価する際の代表的な手法に
「収益還元法」があります。
これは物件が将来生み出す収益から逆算して、
その物件の担保価値を算出する方法で、
収益物件の評価ではほぼ必ず使われる考え方です。

簡略化して言えば、
年間の純収益(家賃収入から経費を差し引いたもの)を、
その地域・物件種別における期待利回りで割ることで、
物件の評価額が算出されます。たとえば年間純収益が60万円、
期待利回りが6パーセントであれば、
評価額は1000万円となります。

この計算式の出発点となる「年間家賃収入」を
裏付けるのが、まさに賃貸借契約書なのです。
賃貸借契約書に記載された月額賃料に12を掛けた数字が、
評価額算定のベースとなります。家賃が高ければ評価額は上がり、
融資可能額も大きくなります。逆に低ければ、
評価額は下がり、融資が出にくくなります。

ここに、分譲マンション投資の戦略的な視点が現れます。
築年数が古い物件であっても、
長く住み続けている入居者が相場相応の家賃で
契約していれば、
収益還元評価では十分な担保価値が認められます。

5. まとめ
オーナーチェンジ物件は、
すでに収益が確定している分、
空室物件よりも融資が引きやすいというメリットがあります。

しかしそれは、賃貸借契約書の中身が良好であることが前提です。
逆に言えば、契約書を丹念に読み込めば、
その物件が本当に優良なオーナーチェンジ物件か
どうかを冷静に見極めることができます。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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