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非上場株式の配当還元方式とは?適用要件と計算方法

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第256回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 同族会社の非上場株式の評価方法のひとつに「配当還元方式」があると聞きました。
原則的な評価方法より株価が低くなりやすいとのことですが、
どのような場合に使えるのでしょうか?また、計算方法も教えてください。

A
1.配当還元方式の考え方
非上場株式の相続税評価には、
原則的な評価方法(純資産価額方式・類似業種比準価額方式・併用方式)と、
特例的な評価方法である「配当還元方式」があります。

配当還元方式は、会社の支配権を持たない
少数株主が取得した株式について適用される評価方法です。

少数株主は会社の経営に影響力を持たないため、
株式を保有する目的は配当を受け取ることに限られる、
という考え方に基づいています。

一般的には、原則的な評価方法より
配当還元方式の方が株価が低くなることが多く、
特に不動産の含み益が大きい大家さんの資産管理会社では、
その差が大きくなりやすい傾向があります。

2.配当還元方式が適用できる場合
配当還元方式は、株式を取得した「人」の立場によって判定されます。

同じ会社の株式でも、誰が相続するかによって、
原則的評価方式になったり配当還元方式になったりするのです。

財産評価基本通達188では、
次のいずれかに該当する株式について配当還元方式を適用するとしています。

(1)同族株主のいる会社で、同族株主以外の株主が取得した株式

(2)同族株主のいる会社で、中心的同族株主以外の同族株主のうち、
取得後の議決権割合が5%未満で、役員でない方が取得した株式

(3)同族株主のいない会社で、取得者グループの議決権割合が15%未満の場合

(4)同族株主はいないものの中心的株主がいる会社で、
取得後の議決権割合が5%未満で、役員でない方が取得した株式

ポイントは「取得後の議決権割合」と「役員であるかどうか」です。
議決権割合が小さくても、課税時期に役員であった場合や、
申告期限までに役員に就任する場合は、
配当還元方式の適用対象から外れることになりますので、ご注意ください。

3.配当還元方式の計算方法
計算式は次のとおりです。
配当還元価額 = (その株式に係る年配当金額 ÷ 10%)× (1株当たりの資本金等の額 ÷ 50円)

「年配当金額」は、直前期末以前2年間の平均配当金額を使います。

ただし、特別配当や記念配当のように、
将来も継続して支払われることが見込まれない非経常的な配当は除外します。

計算上の注意点が2つあります。

(1)1株当たりの年配当金額が2円50銭未満、
または無配の場合でも、2円50銭として計算します。
無配会社であっても配当還元価額がゼロにはなりません。

(2)配当還元価額が原則的評価方式による価額より高くなる場合には、
原則的評価方式の価額を採用します。

たとえば、1株当たりの資本金等の額が50円、
1株当たりの年配当金額が10円の場合、
(10円 ÷ 10%)×(50円 ÷ 50円)=100円となります。
原則的評価方式で同じ株式が500円と評価されるのであれば、
配当還元方式の100円を採用することになります。

4.まとめ
配当還元方式は、節税のテクニックではなく
「少数株主に該当する方だけが使える評価方法」です。

不動産を法人で保有している大家さんは、
株主構成・役員構成と相続税評価を一体として設計することが重要です。
生前のうちに、どなたにどの程度の株式を持たせるか、
どなたを役員にするかを、税理士と相談しながら整理されることをおすすめします。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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