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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第十二回「事業主貸と事業主借」

大家業を営む個人事業主にとって、経理処理の際に覚えておきたいのが「事業主貸(じぎょうぬし・かし)」と「事業主借(じぎょうぬし・かり)」という勘定科目です。今回はこれらについて説明します。

1.そもそも事業主貸・借って?

(1)個人事業の会計ルールで出現

事業主貸と事業主借は、大家さんや個人事業主の税務申告において必要になる勘定科目です。簿記の試験などには出てこないものですが、実務ではよく使う科目です。経理ソフト等においても、個人の設定には出てきますが法人の経理では使いません。あくまでも個人事業において使うものだ、と覚えておいてください。

(2)事業と家計をつなぐ科目

なぜこのような科目があるのか。簡単に言えば、個人の家計と商売を分けるためです。個人の経理処理をする場合、商売用のお金の出入りと個人のお金の出入りを混ぜこぜにしないことが重要です。とは言え、個人の場合は同じ財布からお金を出したり、銀行口座も商売用と自宅用を分けずに使ってしまいがちです。そこで経理処理上、個人的な支出や入金を「事業用ではない」という目印のためにこの勘定科目を使います。言うなれば、仮想で事業と家計をわける、といったような設定を思い浮かべていただくといいかもしれません。

2.貸・借の使いこなし方

(1)事業主貸がないのはおかしい

大家業と関係のない出費、たとえば家族での食事代などを大家業の財布から出金した場合には、帳簿上では「事業主貸」という科目を使います。また、家賃が入ってくる口座から自分の生活費を引き出した場合にも「事業主貸」を使います。これ以外でも、電話代や自動車の経費など、個人名義で事業でも使っている経費についても、事業とは関係のない部分(これを家事消費と言います)は「事業主貸」に振り替えることになります。この割合はそれぞれの事情によって変わるので、根拠を示す必要があります。いずれにしても、個人事業の場合にはこの科目が帳簿に出てくるのが当然と言ってもいいので、逆にこの科目が無いと税務署に注目される可能性があるので注意してください。

(2)事業主借はちょっと特殊

一方、事業主借になるので忘れてならないのは、事業用の銀行口座の利息です。会社の経理ですと利息は「受取利息」という勘定科目になりますが、大家業や個人事業の場合、預金利息は「事業主借」となります。これは税務上の扱いから出てくる理由で、利息は税務上「利子所得」とになって、不動産所得の計算から除く必要があるためです。そのほか、商売上の支払いをするのにお金が足りなくなった場合などに、事業用の銀行口座へ自分の財布からお金を入れた場合なども「事業主借」と仕訳します。

3.まとめ

事業主貸と事業主借を使いこなすと、大家業の経理処理はかなりはかどるはずです。特に青色申告を行う人は必ず押さえておきましょう。

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岩松正記
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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