~分譲マンション投資の魅力~
ここまで現地調査で建物の外側から、
その健康状態を推し量る話をしました。
今回からは、建物の中に入ります。
1.部屋に入れなくても、建物には入る
分譲マンション投資で扱う物件の多くは、
すでに入居者のいるオーナーチェンジです。
当然、室内を見ることはできません。
では、現地へ足を運ぶ意味は薄いのか。
まったく逆です。
室内は、売り出す前にいくらでも整えられます。
一方、共用部分は誰にも取り繕えません。
買主が見られるのは、むしろ取り繕えないほうだけだとも言えます。
エントランスをくぐったら、
まずエレベーターで最上階まで上がってください。
そこから階段で一階まで降りながら見ていく。
これが内部調査の順路です。
なぜ上からなのか。建物の傷みは、
上から出るからです。
2.屋上の劣化は、最上階の天井に出る
最上階に立ったら、天井を見上げてください。
共用廊下でも、階段室でも、
エレベーターホールでも構いません。
探すのは、茶色く輪を描いたシミです。
雨水は屋上の防水層を破ると、
まず最上階の天井裏に溜まります。
屋上防水の寿命は、屋上に上がる前に、
最上階の天井が教えてくれるのです。
ここで大切なのは、
シミの有無そのものではありません。
補修された跡が残っているなら、
それは加点材料です。
雨漏りを見つけ、原因を突き止め、
費用を出して直したという事実が、
そこに刻まれています。
減点すべきなのは、
シミがそのまま放置されている場合です。
誰も気づかなかったか、
気づいても直せなかったか。
どちらにしても、
管理組合が動いていないことを意味します。
3.そのシミは、修繕履歴へ戻る索引
天井を見終えたら、書類に戻ります。
屋上防水は、工法によって寿命が違います。
ウレタン塗膜防水がおおむね十年から十五年、
シート防水が十二年から十五年。
アスファルト防水は、
保護コンクリートで押さえる
工法であれば二十年以上持つ例もあります。
修繕履歴を開き、
直近の防水工事が
いつ行われたかを確かめてください。
前回の工事から十五年が
過ぎているのに天井が乾いているなら、
その建物は丁寧に扱われています。
逆に、数年前に防水を
やり直したはずなのにシミがあるなら、
工事の中身を疑う理由になります。
屋上に上がれる物件であれば、
防水層のひび割れ、膨れや浮き、
雨上がりの水たまり、
雑草の有無も見ておきたいところです。
雑草の根は、防水層を内側から壊していきます。
4.そのシミは、あなた一人では直せない
もう一つ、押さえておきたい理屈があります。
区分所有法九条は、
建物の設置または保存の
瑕疵によって損害が生じたとき、
その瑕疵は共用部分にあるものと
推定すると定めています。
原因の場所が特定しにくいマンションで、
被害を受けた側の立証の負担を軽くするための規定です。
屋上の防水層は、共用部分です。
そこから雨が入れば、
直すのは管理組合であり、
原資は修繕積立金です。
つまり最上階の天井のシミは、
それが他人の部屋の上にあっても、
住民全員の財布につながっています。
買おうとしている部屋が最上階でなくても、
上まで上がって見ておく理由はここにあります。
5.まとめ
シミがあるから買わない、
ないから安心、という話ではありません。
直された跡なのか、放置された跡なのか。
そこから修繕履歴へ戻り、
防水工事の記録と突き合わせて、
初めて意味を持ちます。
傷まない建物を探すのではなく、
傷んだときに直される建物を選ぶ。
天井を見上げて確かめられるのは、
まさにその一点です。



