大家業を営む上でかかわってくる個人の税金や税金のような出費に関しては、経費になるものとならないものがあります。今回はその説明をします。
1.税金には2種類ある
(1)経費になる税金
会計のルールでは、税金を支払った時の科目名は「租税公課」になります。大家業に関係する租税公課で代表的なものは、取得した固定資産にかかる固定資産税(もちろん都市計画税も含まれます)や償却資産税、契約書に貼る印紙代(印紙税)があります。オーナーの所有する車にかかる自動車税は、不動産事業にかかわる部分を経費にすることができます。
(2)経費にならない税金
税金の中でも所得税(源泉所得税を含む)や住民税は、大家業だけに関係するのではなく個人そのものにかかわるものなので、経費になりません。会計上は「事業主貸」で出費を処理します。 延滞税や交通違反の罰金などの類は、会計上は「租税公課」で処理したりしますが、これも直接事業には関係のないものということで経費にすることはできません。 なお消費税を納める場合については、経理処理の方法によって経費にできるかどうかが決まります。税込経理をしている場合は租税公課で経費にしますが、税抜経理をする場合は仮受消費税等で処理して経費にはなりませんのでご注意ください。
2.税金に近いものにも注意
(1)損害保険は経費になる
大家業の場合、火事などの災害に備えて損害保険へ加入する場合がほとんどですが、これは言うまでもなく事業に関係する出費と言えるので当然に経費になります。しかし個人の生命保険は、これは直接に事業には関係ないということで経費にはなりません。しかし、生命保険に関しては「所得控除」という形で、税金を計算する際に利益から所定の金額を差っ引くことができます。 経営セーフティ共済(倒産防止共済)については、法人では全額経費にすることができますが、個人の不動産賃貸業では経費にすることができません。
(2)所得控除は実質経費
国民健康保険や国民年金、小規模企業共済などは、大家業には関係がないので経費にはなりません。しかし、これらも「所得控除」という形で利益からマイナスすることができます。しかも生命保険とは違い、支払った金額全額を控除することができるので、結果的に節税になります。
3.まとめ
税金やその周辺の出費については、大家業に直接かかわる出費なのかどうかで、経費にできるかどうかが決まります。この点は他の経費についても同様ですので、覚えておきましょう。