大家さんが知っておくべき投資分析④
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの駒崎竜より、お届けいたします。
●資産運用で資産を増やすことの大切さ
続いて、資金運用についてお伝えしたいと思います。
皆様は、修繕積立金の資金運用はどのようにされていらっしゃいますか?
普通預金や定期預金に預け入れしている場合は、低金利ですので資金の増加を期待することは難しいですし、国債の利回りもあまり期待できない数値となっています。
しかし、賃貸経営をしている以上、入退去時の原状回復費用や大規模修繕費の準備が必要となりますので、積立金の運用がとても大切となります。
また、先述の通り、所得税対策のために利息を多く払うのではなく、繰上返済を利用して資金繰りを改善した場合は、手元資金が多く残るようになりますので、適切なタイミングで目的に合わせた資金運用をしましょう。
●目的に合わせた資産運用
目的に合わせた資金運用とは、何のために、いくらの金額をいつまでに必要なのかを明確に設定し、いくらの資金をどのくらいの期間運用したら良いのか、どのような金融商品が安全性の高い商品なのかを判断することです。
例えば、10年以上先に必要な資金であれば、貯蓄性のある生命保険で備えても良いと思いますが、1年〜5年後に必要な資金であれば、債券で運用する選択肢があります。
債券の商品によっては、1年満期で利率3.2%、3年満期で利率3.5%の円建て債券などがあります。(2015年3月8日時点)
債券は元本保証はなくとも、発行体によっては元本欠損リスクを低く抑えていますし、円建てであれば為替の変動リスクもありません。
定期預金については、メガバンクの定期預金1年物の利率が0.035%程度、ネット銀行の定期預金1年物の利率が0.3%程度です。
1年後の運用収益(税引前)を単純計算すると次のようになります。
メガバンク定期預金 0.035% →1,049円
ネット銀行定期預金 0.300% →9,000円
証券会社円建て債券 3.200% →95,999円
メガバンクの定期預金と円建て債券を比較すると、1年間の運用収益(税引前)で94,950円の差が生じることがわかります。
このように金融商品の選択次第では、資金の運用成果が賃貸経営にも影響がでます。
そのため、投資家視点で資金運用を考えることも重要です。
国の金融政策について考えると、アベノミクスではインフレターゲット2%を打ち出していますので、物価が2%上昇すれば、お金の価値は2%下がります。
つまり、300万円−59,999円=2,940,001の価値です。
そのため、物価上昇率よりも利率が低い預金などは、持っているだけで資金が値減りしてしまうのです。
賃貸経営における資金運用は、修繕費や入退去時の原状回復費、災害時の復旧費用を備えるために必要不可欠な投資活動です。
この投資活動を疎かにすると、大規模修繕を実施するときに資金が足りず、金融機関からの借入れを利用することが懸念されます。
そうならないためにも、長期安定経営ができるように、専門家へご相談ください。