緊急事態宣言により、コロナショックによる経済の停滞が深刻化しそうです。大家さんにとっては、今後、家賃を払ってもらえなくなるか、家賃の減額交渉がくるか、戦々恐々としている方もいらっしゃるかと思います。
「家賃の減額交渉がされたらどうすればよいのか?」
4月2日の国土交通省から賃貸オーナーに向けての対応のお願いの事務連絡がありました。その内容と私の見解を交えてお伝えしていきます。
令和2年3月31日に国土交通省は賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては、賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討頂くよう要請を出したと報道がありました。
実際に賃料を猶予するビルオーナー様がいらっしゃるとのことで、とても素晴らしいことだと思います。
猶予しないと退去されてしまい、家賃が今後入ってこなくなる可能性を踏んでの判断なのかもしれません。
住居系オーナーにも同様に賃料を猶予できる方は、もちろんしてあげればよいかと思います。
しかし、私が見てきた大家さんは、キャッシュフローに余裕がない方が多いのが現実です。
賃料の猶予を安易に受けてしまうと、銀行の返済がままならなくなることが懸念されます。
大家さんが破綻してしまっては、住居を提供できなくなり、本末転倒です。
「大家さんはインフラ(住居)を提供している」
という意識をもって、適切な判断をするべきだと考えます。
そこでどのように対応していくべきかを挙げさせて頂きます。
1.休業補償がないか確認する。
会社は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
しかし、会社側が「不可抗力」に該当するからと休業補償を支払わないと言われる可能性があります。
その場合でも、雇用調整助成金があるので、休業補償がもらえる可能性があります。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度。
コロナの影響により、要件が緩和されています。
アルバイトなども対象になります。
この休業補償で家賃が払えないかを確認してみましょう。
2.住居確保給付金を紹介する。
住居確保給付金は仕事を失うなどにより、家賃を払えない人に国や自治体が家賃の支給するものです。
市区町村が窓口となって、原則として3か月間、最長で9か月間、家賃が補填されるものです。
対象者は、離職・廃業後2年以内の人なので、休業の場合には、該当はしませんでした。
しかし、4月20日から法改正があり、
「給与等を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由・当該個人の都合によらないで減少している者」が対象になります。
つまり、休職者でも対象になるということです。
さらに、雇用契約にないフリーランスも認められることになります。
また、各自治体では、家賃だけでなく、公共料金の滞納、就職活動の相談にものってくれます。
3.敷金があれば敷金を充当する。
もし敷金を預かっているのであれば、敷金を家賃に充当する方法で、家賃の支払いを免除するという方法があります。
退去時には、敷金を返さなければなりませんが、この敷金を家賃に充当させてもらうことにすれば、大家さんの出費がなくなる分負担にはなりません。
この場合には、入居者さんと契約書を交わしておくべきです。
4.返済猶予
家賃の猶予をしなければならない状況になるのであれば、大家さんが破綻しないように、銀行に返済の猶予を申し入れることも検討しましょう。
令和2年4月2日付の国土交通省の事務連絡では、
「金融庁より金融機関に対し、賃貸事業者を含む事業者や個人の有するローンについて、返済猶予など条件変更に迅速かつ柔軟に対応するよう要請をした」
とのことです。
入居者さんから家賃の猶予を迫られていることを理由に、銀行に交渉ができるということです。
5.納税猶予
コロナによる減収があった場合に無担保、かつ、延滞税なしでの1年間の納税の猶予が認められます。
対象期間における収入が前年同期比でおおむね20%以上減少していることが要件となります。
法人税、消費税、所得税、相続税・贈与税、源泉所得税等が猶予対象です。
6.償却資産、事業用家屋に係る固定資産税等の軽減
令和2年2月から10月までの任意の3カ月間の売上高を前年同期間と比較して
◯30%以上50%未満の減少⇒2分の1の免除
◯50%以上減少⇒全額の免除
になります。
大家さんにも身を守る制度があります。
今後コロナの影響がどこまで及ぶかわかりませんが、大家さんも安心して入居者さんに住居を提供できるようにキャッシュフローを第一に考えて行動するようにしましょう。
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まとめ
・大家さんはお金をあまりもっていない!
・大家さんはインフラ(住居)を提供する事業者であることを自覚しよう!
・大家さんの身を守る制度があるので、税理士などに相談して活用しよう!