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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第103回】
不動産鑑定士×一級建築士 田口 陽一が斬る!④

~2020年からの不動産投資戦略~

こんにちは!
一級建築士・不動産鑑定士の田口です。

さて、今後の不動産投資戦略、今週は其の4。

変化を追え!! 

これまでやたら当たり前のことを書いて参りました。

目新しいことがなくて、期待外れだったかもしれませんね!

今週は最終回ですので、少し専門的なことにも触れてみたいと思います。

私のパートは、

「一級建築士・不動産鑑定士」としてのメルマガです。

ただ、不動産・建築は幅広い経験値によるところが大きいので、
「一級建築士・不動産鑑定士」だからって、特別偉くも何でもないのですが・・・
一応不動産鑑定士らしいことも書いてみたいと思います。

不動産鑑定基準に、以下のようなくだりがあります。

★★★★★★★★★★★

不動産鑑定評価基準

~総論第1章第1節不動産とその価格~

不動産は、通常、土地とその定着物をいう。
土地はその持つ有用性の故にすべての国民の生活と活動とに
欠くことのできない基盤である。
そして、この土地を我々人間が各般の目的のためにどのように
利用しているかという土地と人間との関係は、不動産のあり方、
すなわち、不動産がどのように構成され、
どのように貢献しているかということに具体的に現れる。
この不動産のあり方は、自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の
相互作用によって決定されるとともに経済価値の本質を
決定づけている。

一方、この不動産のあり方は、
その不動産の経済価値を具体的に表している価格を
選択の主要な指標として決定されている。
不動産の価格は、一般に、

(1)その不動産に対してわれわれが認める効用
(2)その不動産の相対的稀少性
(3)その不動産に対する有効需要

の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を、
貨幣額をもって表示したものである。
そして、この不動産の経済価値は、
基本的にはこれら三者を動かす
自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の相互作用によって決定される。
不動産の価格とこれらの要因との関係は、
不動産の価格が、これらの要因の影響の下にあると同時に
選択指標としてこれらの要因に影響を与えるという二面性を持つもの
である。

★★★★★★★★★★★

ッて???はっ???
なんのこっちゃい!?

私もそう思いつつ、
そうかそうかとひたすら頭に叩きこみ、勉強しました
不動産鑑定士試験・・・・

しかし実務者として、少ないながらも経験を積んだ今なら
「なるほど、その通り!」
と腑に落ちる気がします。

難しく書いてありますが、やっぱり、
不動産の本質はシンプルなんだと。

不動産鑑定基準に沿って、もう一度重要なところを繰り返しましょう。
抜粋して、私なりに一部意訳・要約しちゃいます。
皆さんも、リフレイン!

★★★★★★★★★★★

土地はその有用性故に国民の生活に欠くことのできない基盤。
土地と人間との関係は、
不動産がどのように構成され、貢献しているかということに
具体的に現れる。
この不動産のあり方は、経済価値の本質を決定づけている。
不動産の経済価値は、
不動産に対して人間が認める効用、相対的稀少性、有効需要
の三者の相関結合によって生ずる。

★★★★★★★★★★★

真理ですね。

不動産投資の極意の一つは、
本来の「価値」より割安な「価格」で取得することにあります。
不動産投資だけではないですね。これは。
誰しも否定しないと思います。

総論賛成。

ではその「価値」の見極め、「価格」に対する判断は、
具体的にどのようにすればいいのか・・・
具体論は・・・・これが難しい。確かに簡単ではない。

でも、本質はシンプルであるということです。

つまり、何が言いたいか。

不動産だけ見て不動産を考えていてはダメよ、ってことです。
なんだそりゃ、禅問答か?

いえ、つまりは、
「人間と不動産の関係を考えよう!」
ということ。

人間が不動産をどう利用しているのか、今はどうか、将来はどうか、
その不動産のメリット・有用性は何か、
将来どのように変化していくのか。
未来から今を考える必要があると思います。

だから、
【変化を追え!!】

話が戻ってきました。

これまでもチラホラとコメントしましたが、
今の時代、強烈なスピードで技術革新が起きています。

繰り返しになりますが、
スマートフォンが普及し店舗がショールーム化し、
AI、ロボ、AR・VR、5Gの時代が到来しつつある。
戦争兵器まで無人化・遠隔化しつつあることを直視しなければいけない時代。
ほんとにマトリックスみたいな時代が来るんじゃないか。

既に現実化している少子高齢化、社会の成熟化、
震災や台風でも露呈した社会インフラの維持管理更新の難しさ、費用捻出、
等々・・・

これからは物件維持管理の難易や、
スマートシティ化・コンパクトシティ化、
単身世帯増や利便性へのさらなる追求、時間価値の増大、といったことが
どのような時間を過ごすかという価値観の多様化、
などが“カギ”になるのではないでしょうか。

鑑定基準でいうところの、
不動産の「効用」「稀少性」「有効需要」
は固定的なものではありません。
我々人間の生活・価値観・経済活動の変化によって、変化するものだと思います。

なので、
我々人間社会の変化を捉えなければ、
不動産価値の本質を具体的に捉えることができない、
ということになります。

シンプルだけど、なかなか難しいことだと思います。
正解は一つではないし、刻々と変化するものです。

結局、不動産オーナー様それぞれが、
それぞれに時代を捉え人間社会の変化を捉え、
不動産投資戦略もそれぞれに組み立てる、
そういうことになりますね。

正解は一つではない。たくさんある。

難しいセミナーなんて要らない。
我々人間世界の変化に目を向け耳を澄ませましょう。
耳を澄ませば・・・

なお、
鑑定評価基準にご興味を覚えた方は以下から
参照することができます。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk4_000024.html

それではまた!

4回分ご覧頂きありがとうございました。
皆様において何か一つでも気付きが得られたとしましたら
嬉しく思います。

 

ABOUT ME
田口陽一
明治大学理工学部建築学科卒業。一級建築士、不動産鑑定士、宅地建 物取引士、マンション管理士。東京建物株式会社にて、不動産鑑定評 価、都市再開発、オフィスビル売買・運営、SPCスキームを活用した 不動産事業等、理論・実務の両面から不動産業務を経験し実績を残す。 不動産ソリューションは、実践的経験が何より重要であるばかりでな く、建築・税・法務・金融・理論的評価・現実の売買等々、複合的領 域にわたることから、常に複眼思考でベストな解決策を構築している。 鑑定評価や売買のみならず、バランス重視のハイブリッドなアドバイ ザリーを得意とする。
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