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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第九十一回】ファイナンシャル・プランナー
駒﨑 竜が斬る!④

『大家さんが活用できる借入れについて』

こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒﨑です。

資金繰りに苦しんでいる場合や相続税の納税などで一時的に大きな資金を支出する   場合には、『毎月の返済額が利息だけだったら・・・』などと
感じることがあるかもしれません。

特集の最終週は、シニア層が利用できる
「リバースモーゲージ型ローン」について情報提供をいたします。

1.リバースモーゲージ型ローンとは

シニア層(55歳以上)の方が、所有する不動産を担保に設定することで
融資を受けられるローンで、資金の利用目的が自由なもの、住宅資金
(賃貸物件除く)に特定するものがあります。
最大の特長は、利息のみを返済していき、元金の返済は、申込人全員が
死亡した時に担保物件等の売却で一括返済することです。
また、担保物件等の売却では返済資金が不足する場合でも、
法定相続人に請求することがないノンリコース型が一般的に利用されています。
毎月の返済額が少額になるため、手元に金融資産を残しておきたいニーズにマッチして  います。

2.リバースモーゲージの利用ニーズ

「人生100年時代」や「年金2,000万円不足問題」、「空き家問題」や
「消費税増税」など、最近の話題は、大家さんにとって気になることばかりかと
思います。現役世代が国民年金(第1号被保険者)の加入者である場合は、
老齢年金だけでは生活のやりくりが大変になる可能性が高いので、
貯蓄を取り崩していくことが考えられます。
このようなことを背景に、手元に預貯金等(金融資産)を残したまま、
住宅資金や生活資金として利用できるリバースモーゲージ型ローンの利用者数が
年々増加傾向になっています。
自宅の住替え、自宅の建替え、自宅や賃貸物件のリフォーム、借換え、
サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金、自然災害で被災した住宅の復興、
生活費などに利用されています。

3.大家さんのリバースモーゲージ活用例

アパートローンの借換え、賃貸物件の大規模修繕、空室時のリフォーム、
リノベーションなどにリバースモーゲージ型ローンを活用すれば、
月々の返済額を低く抑えることが可能です。
(金融機関によって利用できる資金は異なります)

【例】
アパートローン残債:3,000万円(残期間17年)、担保評価額:5,000万円、
担保掛け目:55%の場合は、借入可能額が2,750万円となります。
自己資金250万円と借換え時の諸費用を支払い、
現在の金利:2.30%(変動金利)から、金利2.975%(変動金利)の
リバースモーゲージローンに借換えた場合、毎月の返済額が177,816円から
68,177円(利息分のみ)になる計算です。
例えば、借換え時の諸費用が、登記費用35万円、融資手数料10万円、
収入印紙2万円であれば、250万円の自己資金+47万円を支払い、
月々の支払額が-109,639円という計算になります。

リバースモーゲージ型ローンは、この他に相続対策資金としても
利用することができます。

①親から子への住宅取得資金贈与をする場合で、
その資金をリバースモーゲージローンで調達。(贈与税の非課税活用)

②相続で受け取った不動産を担保にリバースモーゲージローンを利用し、
その資金で他の相続人に代償金の支払いをする。
民法(相続法)改正により、遺留分侵害額に相当する権利が金銭債権と
なりましたので、金銭の準備に活用。

このように、リバースモーゲージの活用場面は拡大していますので、
シニア向けとはなりますが、資金繰りを改善する目的であれば、
上手に活用するのも良いと思います。
金融機関によって、資金の使いみちや担保評価の出し方、
配偶者居住権への対応策としての債務承継有無などが異なりますので、
検討する際には十分に確認するようにしましょう。

今月の特集では、借入れをテーマに最新情報の提供をしましたが、
いかがでしたでしょうか。
借入れを活用するビジネスにおいては、総返済額だけではなく、資金繰り
(キャッシュフロー)にフォーカスを充てて経営を考えることが
とても大切です。

そして、借入可能額の目安については、税引後の年間キャッシュフロー未満に
年間返済がおさまるように設定することが重要ですので、
必要に応じて専門家に相談をしましょう。

ABOUT ME
駒﨑竜
駒﨑 竜(Komazaki Ryu) 経済力コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー エターナルフィナンシャルグループ(株)  代表取締役 エターナルウェルスマネジメント(株) 代表取締役 一種外務員、貸金業務取扱主任者、 二級FP、損害保険大学、生命保険大学 マネーの達人・週刊ダイヤモンド・価格ドットコム・KINZAI・ 不動産日記(税金の手引き)・税の知識(相続贈与)・ 住宅新法(事業資金調達)・住宅ローンアドバイザー通信など、 専門家としての執筆、監修をしている。
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