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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第110回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!③

「賃料の鑑定評価の手法(軽めに!)」

皆様こんにちは。

不動産鑑定士住宅診断士の皆川聡です。

前回は、賃料の鑑定評価活用の費用対効果についてお伝え致しました。

賃料の鑑定評価の費用だけではなく、調停や裁判のために別途費用が掛かる旨の説明を  させていただきました。

また、その場合のトータルコスト「費用」と何カ月(年)できるかという「効果」
について検討しましょう、とお伝え致しました。

今回は、もうちょっと賃料の鑑定評価の手法の中身に、ちょっとだけ食い込んでいこうと 思います。

 

1.差額配分法

タイトルを書くと、ちょっと重々しいかもしれませんが、
あまり難しくはありません。寧ろ常識的でしっくりくる手法です。

「今の賃料、そう言えば~市場賃料に比べ、割安だな~」
と思っても、すぐにはその市場賃料まで値上げは
できない場合が十分に考えられます。

これは、初期の賃貸借契約締結の経緯や、今までの賃料改定の経緯などもあり、
現行賃料と市場賃料との差額を今の賃料にいくらか増減するかな?
という調整をして、最終的に決定することになります。

そして、その調整割合は、お互いの衡平の観点から、
「その差額の半分でいいかな」
ということで、お互い折り合いが付き易い、
「真ん中で!!!」
ということで、いわゆる「折半法」がよく採用されています。

例えば月額、市場賃料が40万円、現行賃料が30万円、差額の10万円を2で割って5万円。
この差額5万円を
現行賃料の30万円に加算して、35万円で決定することになります。

この考え方を反映した手法を鑑定評価では「差額配分法」と言います。
そして、上記35万円は「差額配分法」により算出した賃料(継続賃料)になります。

すなわち、市場賃料との差額は半分で調整してね!
というイメージです。

勿論市場賃料とは、
「今新たに貸せたらいくらになるの?」
という賃料です。この賃料を「新規賃料」と言います。

上記記載の市場賃料は全て「新規賃料」をベースに記載しております。

 

2.スライド法

「前回合意した時点に比べて、今の経済情勢は良くなったよね。」
「だから、賃料を上げてもいいよね。」
という手法を「スライド法」と言います。

「経済の物価スライド等の変化に応じて、賃料も変動するよね。」

ということを反映した手法です。
客観性はありますが、賃貸借契約当事者間の個別性を反映しにくいというデメリットが  あります。

このときに採用するスライド指数は、
・人口の変動率、
・GDPの変動率
・消費者物価指数の変動率、
・地価水準・賃料水準の変動率、
・公租公課の変動率、
・対象となる不動産の経済価値の変動率
などを見ます。

その他、
店舗の賃料の場合には、
特に駅徒歩圏の店舗の場合は、
・最寄駅乗降客数の推移やロードサイド店舗の場合は、
・周辺のロードサイド店舗数の推移
なども見たりします。

また、店舗全体に言えることで特に、最近の店舗経営は、
「消費税アップ」と「人件費の高騰」という
ダブルパンチにより苦戦を強いられている傾向があります。
また、
「近くに大きなモールができちゃったよ!」
「ネット通販が強すぎて!」
ということもあるため、
これらについては、別途賃料固有の価格形成要因という
項目にて、慎重に調整することが必要になったりもします。

要するに、賃料を負担している原資である利益の確保が、
難しくなっていることを反映する必要があるということです。

スライド法は、「現行賃料が合意されたときの経済情勢」と
「今の経済情勢」を比較する手法です。

その他の手法もありますが、今回は、分かり易いところで、
ここまでにさせていただきます。

3.まとめ

以上のことから、賃料の鑑定評価をご依頼される際は、

① 市場賃料と現行賃料との比較
② 現行賃料が決定したときと今との経済情勢の比較

が必要となります。

鋭い方は、前回とまとめが同じとお気づきですね。
そう、賃料の鑑定評価において上記二点は非常に重要なポイントなのです。
是非ご依頼の際には、このポイントを見極めていただきたいのです。

賃料の鑑定評価により、賃料の値上げ、不動産経営のキャッシュフローが        より効率良くなれば、素晴らしいと思います。

今回も最後までお読みだきましてありがとうございます。

 

ABOUT ME
皆川聡
株式会社あおい不動産コンサルティング。 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、通常の鑑定に住宅診断(ホームインスペクション)をプラス。さらに、本当の意味での建物評価の精緻化を目指し、日々研究している。
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