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【第120回】弁護士 関 義之が斬る!     「弁護士が語る 民事執行法の改正について」その1

●改正民事執行法等の施行

こんにちは。弁護士の関です。

令和元年5月10日、
「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の
実施に関する法律の一部を改正する法律」が成立し
(同月17日公布)、原則として、令和2年4月1日に施行されました。

今回は、この改正法について解説します。

なお、法務省民事局のホームページでは動画での説明や分かりやすい
パンフレットなどが掲載されていますので(令和2年4月1日現在)、         そちらも参考になると思います。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00247.html

●改正法の概要

改正の対象は、「民事執行法」と
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」です。
後者は、ハーグ条約実施法と呼ばれています。

民事執行法は、債権者が国家権力を使って権利を実現するときの
民事執行手続について定めた法律です。
大家さんでいえば、賃借人が数ヶ月賃料を滞納した場合に、
建物の明渡しの強制執行を行う場合や、未払賃料の回収のために賃借人の
預金口座を差し押さえたりするときに関係する法律です。
後者が金銭債権の強制執行、前者を非金銭債権の強制執行といいます。

後者の金銭債権の強制執行の場合、債務者(賃借人)に
財産がなければ実行できません。また財産があっても、
債務者がそれを隠していれば同じです。
折角、裁判をして勝訴判決を得ても、泣き寝入りになってしまいます。

民事執行法では、このような場合に、
債務者に財産を明らかにさせる手続があります。
これを財産開示手続といいます。
しかし、この手続の使い勝手が悪く、
なかなか財産の開示が実現できなかったため、
今回の改正法では、この財産開示手続が強化されました。

さらに今回の改正法では、債務者の財産状況の調査をする手段として、
登記所などの第三者から債務者の財産に関する情報を取得する手続が新設されました。

また、大家さんの業務とは直接関係ありませんが、
民事執行法とハーグ条約実施法を改正し、
国内の子の引渡し及び国際的な子の返還の強制執行に関する
規律の明確化が諮られました。離婚事件などで関係する改正です。

そのほか、不動産競売における暴力団員の買受けを防止するための
規定が新設されたり、細かいですが、債権執行事件の終了と
差押禁止債権をめぐる規律の見直しが図られています。

次回以降、財産状況の調査の手続を中心に解説します。

 

ABOUT ME
関 義之
「関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士」 平成10年 3月に早稲田大学法学部を卒業し、 その年の10月に司法試験に合格。 1年半の司法修習を経て、平成12年10月から弁護士登録。 平成23年10月から中小企業診断士にも登録。 法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、 代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、 契約書の作成・チェック等、 紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。 不動産の賃貸・売買や、 遺言・遺産分割・遺留分など相続に関する相談を、 幅広く受けている。 特に力を入れている分野は、中小企業の事業承継支援。 セミナー経験多数。 詳しくはWebサイト参照  https://seki-partners.com/
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