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【第311回】
 二代目大家の小宮 哲朗が語る  ~大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営①~

大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営

皆さんこんにちは。今月は二代目大家の小宮 哲朗より
「大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営」と題して、
4回に分けてお送りいたします。

第1回目は「入居者ニーズの変化と賃貸経営への影響」です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、
不動産業界全体にも非常に大きな影響がありました。
生活や働き方に変化が生まれ、
住宅に求められる条件も変化したと言えるでしょう。
賃貸住宅における入居者ニーズが変化しているのを感じている大家さんも
多いのではないでしょうか。
この変化は住宅にとどまらない人間としての価値観の変化であり、
コロナが落ち着いた後はコロナ前の価値観が一部は復活するものの、
完全に戻る可能性は低いと言われています。

 

◆コロナをきっかけに、
部屋を借りる人は住まいに何を求めるようになったのか。
ステイホーム中に「住み替え」など、
住まいについて考えた方が7割以上というアンケート結果があります。
自宅にいる時間が増えたことで、
これまでは気付かなかった点に気づき、
テレワークなどによる日常の変化に伴い、
生活環境を見直すきっかけとなりました。
最近は賃貸住宅に求めるものとして、
具体的には下記のような傾向が出てきています。

1.間取りの変更や快適な空間を求める傾向が増加
「自宅が仕事場にもなる」という、
これまであまり多くの人が経験してこなかった生活空間に対する
ニーズの変化が起きています。仕事に集中できる環境づくりのために、
遮音性や防音性がこれまでよりも重要になり、
空調をはじめとした快適な室内環境の維持も
より重要な要素となってきています。
さらに最近はテレワークスペース付きの賃貸住宅の建築なども
行われています。

2.都心に住む必要性が減少
これまで住宅選びでは「立地」が非常に重視され、
駅近、交通の利便性、いわゆる職場との距離や通勤時間が
大きなポイントでした。
しかし現在はテレワークが進んでおり、
コロナが収束してもテレワークは働き方の選択肢として
大きく残ることになりそうです。
このような情勢下でも立地の良い物件に越したことはありませんが、
必ずしも最重要ポイントではなく

・郊外の自然豊かな環境で暮らし働きたい
・交通便が多少悪くても、ゆったりした広い間取りに住みたい

といったニーズが以前よりも高まっているといえます。

◆賃貸経営にはどのような影響があるのか
1.テレワークスペースの確保
賃貸経営に最も影響を及ぼした要素は、
前述のとおり「テレワーク」です。
居室内にテレワークスペースを作るようなリフォームができればベストですが、
これはファミリー向けなどの広い間取りでは実現可能性があるものの、
単身向けのワンルームなどでは、床面積に限界があり難しいのが現実です。
他の方法としては、下記が考えられます。

・マンションなどの集合住宅であれば、
共用部にテレワークスペースを作るリフォームを行う
・1階がテナント向けの間取りで空室であれば、
コワーキングスペースにリフォームする

以上のどのケースも実現が難しい場合でも、
最近は外部のコワーキングスペースも増えていますし、
カフェやファミリーレストランでテレワークをされる方もいらっしゃいます。
よって物件の周辺環境という側面も重要になってくるでしょう。

2.安定したインターネット環境
1で居室内にテレワークスペースが確保できる場合はもちろんですが、
確保できない場合でもコロナ禍で在宅時間が増加しているため、
安定したインターネット環境は必須です。
最近では「無料インターネット設備」が
賃貸住宅の設備ランキングでは上位の常連になっていますので、
この設備投資は不可避といってもよいでしょう。
しかしインターネット環境は「無料である」が
必ずしも重要ではありませんので注意が必要です。
世間には無料インターネット設備の提供会社が数多くありますが、
サービスによって回線の種類、接続速度、料金体系などに違いがあります。
特にアパートやマンションなどの集合住宅では
複数の入居者が同時間帯に使用する可能性が高くなり、
その場合回線が混雑してしまい、
速度低下を引き起こして逆にクレームになるケースもあります。
つまりインターネット環境は「無料」よりも
「速度」が求められるようになってきているのです。
もちろん無料のサービスがダメだということはありませんが、
「入居者にとって快適な環境は何か」という視点で
サービスを選ぶ必要があるでしょう。

3.騒音トラブルへの対策
アパート、マンションなどの集合住宅における騒音トラブルは
従来からある課題ではありますが、コロナ禍で在宅時間が増えている昨今では、
対策の重要性がより増しているといえます。
最近の新しい物件では遮音性の高い材質を使用したものも増えてきていますが、
既存のものではリフォームを行うしかありません。
また木造、鉄骨、RCなどの建物構造によって物件の元々の遮音性は異なりますし、
電車の線路沿いや大通りに面した物件では騒音が発生しやすい環境にあるなど、
周辺環境に左右されます。
さらに言えば騒音に対する感じ方は人によって異なりますので、
万人に受け入れられる完璧な対策を講じるのは難しいのも現実です。
以上のことからリフォームのコストとのバランスも考慮し、
総合的な判断をする必要があるでしょう。

今回は「大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営」と題して、
「入居者ニーズの変化と賃貸経営への影響」について
お伝えさせていただきました。
皆様の賃貸経営のご参考になれば幸いです。

ABOUT ME
小宮 哲朗
小宮 哲朗(こみや てつろう) エターナルフィナンシャルグループ IFA事業部長 ◆保有資格 CPM(認定不動産経営管理士)、宅地建物取引士、AFP、 証券外務員二種 ◆経歴◆ IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、 不動産コンサルタント、二代目大家。 不動産投資は2012年にサラリーマン大家として開始。 実家が個人の地主系大家のため、 相続対策として法人化を実行し現在に至る。 サラリーマン時代は不動産ポータルサイト「HOMES」の 運営会社でエンジニアを勤め、不動産会社向けシステムの開発に従事。 現在は不動産、金融両方に精通したIFAとしてコンサルティングに従事。
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