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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第354回】
 二代目大家の小宮 哲朗が語る  ①

「不動産『買いたい病』にならないための処方箋」

みなさまこんにちは。今月は二代目大家の小宮 哲朗より
「不動産『買いたい病』にならないための処方箋」と題して、
4回に分けてお送りいたします。

第1回目は「買いたい病の特徴と危険な行動」についてです。

◆不動産価格高騰による「買いたい病」投資家の増加
昨今の不動産価格の高騰で、投資物件の価格も高止まり状態になっています。
さらに売り物件の品不足も重なり、物件購入の競争はますます激しくなっています。
最近は価格の高止まりを察知して積極的に売却活動を進める大家さんも増えていますが、
それでもまだ品不足感は否めません。

このような状況の中、いわゆる「買いたい病」になっている大家さんが
より一層増えています。

「買いたい病」とは、物件購入や資産規模拡大が少しうまくいっただけで
熱量が上がってしまう、
もしくはなかなか物件を購入することができずにいる焦りから、
買いたい気持ちばかりが先行して冷静な判断ができなくなってしまいこと指します。
そうなってしまうと物件の良い面だけが目につき、
リスクをきちんと把握しないまま物件を購入してしまいます。
その結果、のちに大きな損失に繋がってしまう場合があります。

◆「買いたい病」になっている人の危険な行動
1.目先の高利回りにつられてしまう
賃貸経営は物件所有中の家賃収入、いわゆるインカムゲインが収益の柱となります。
よって一定以上の利回りはもちろん必要なのですが、
目先の高利回りばかりに気を取られ現状の問題点や
将来起こりうるリスクを見ずに購入判断してしまう人がいます。
これは不動産に限らず他の投資にも言えることですが、
真っ当な投資は「ローリスク・ローリターン」か
「ハイリスクハイリターン」しかありません。
高い利回りを求めるのであれば同時に高いリスクも負わなければならないのです。
最近は「誰でも簡単に」、「楽に儲かる」などのキャッチコピーで
ローリスク・ハイリターンを謳っている投資商品の広告も増えていますが、
それらのほとんどは詐欺に近いものです。
中には「ノーリスク(リスクゼロ)」を謳っている酷い商品もあります。
また「ハイリスク・ローリターン」の商品は当然のことながら論外です。

2.物件を購入すること自体を目的にしている
こちらも投資家、大家さんに比較的多くみられる特徴ですが、
物件探しが思うように進まず購入できない期間が長くなると、
購入できていないことに不甲斐なさや焦りを感じてしまう方がいます。
そうなるととにかく物件を購入することを最優先にしてしまい、
冷静な判断ができず、結果的に理想とするキャッシュフローが得られない物件を
購入してしまうケースが多くあります。
このようになってしまう原因は上述の通り
「物件を購入出来ていないことに対する気持ちの問題」です。

他の投資家仲間や大家さんがどんどん物件を購入できていても決して焦る必要はありません
一度冷静になって、賃貸経営の現状と今後の目標を整理して見直してみましょう。
物件購入は「目的」ではなく「手段」であり、
みなさんが不動産投資を行う目的は安定したキャッシュフローを得ることで
人生の幸福度を上げることであるはずです。

3.リスクを確認せずに購入する
上記1でも述べた通り、投資には必ず「リスク」が伴います。
賃貸経営で代表的なものには「空室リスク」、「家賃滞納リスク」、
「建物の劣化による修繕リスク」などがありますが、
これらのリスクを本当は理解しているはずなのに、
とにかく購入したい気持ちが先走ってしまい、
事前にきちんと調べずに購入してしまうのです。
リスクの事前調査・把握は絶対に怠ってはいけません。
具体的には「そのリスクがどれくらいの確率で起こるのか」、
「リスクの発生確率を抑えるための施策」、
「実際にリスクが発生したときの対処法」を事前に洗い出したうえで
購入判断をするようにしましょう。

4.自分の中での投資基準を安易に下げてしまう
それぞれ自分の中での「投資基準」を持っている方も多いかと思います。
「徒歩10分圏内しか買わない」、「利回り○%以上」、
「新築は買わない」など、賃貸経営やリスクに対する考え方・価値観によって
投資スタイルが異なるのは当然です。
ここでいう「投資基準を安易に下げてしまう」というのは、
この自分自身の投資基準を明確な理由もなく下げてしまい、
結果的に自分の投資対象から外れた物件を購入し、
賃貸経営がうまくいかなくなるきっかけを作ってしまうということです。
ただしどうしても相場価格が高騰している中で
購入するために投資基準を下げざるを得ない場合もあるでしょう。
ですので全くダメという訳ではありません。
「相場が高いから投資基準を下げるのは仕方ない」で
考えることをやめてしまうのではなく、
「投資基準を下げてもしっかりキャッシュフローが
出るシミュレーションができたから購入する」
というところまで考えて判断する必要があります。

以上、「買いたい病の特徴と危険な行動」についてお伝えしました。
とはいっても不動産価格が高止まりしている状況で
物件を購入していくのは実際簡単なことではありません。
それでも、「ロクでもない物件を買うくらいなら、買わないほうがマシ」です。
ではなかなか購入できない状況で、賃貸経営として何ができるのか?
次回のメルマガでお伝えします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
小宮 哲朗
小宮 哲朗(こみや てつろう) エターナルフィナンシャルグループ IFA事業部長 ◆保有資格 CPM(認定不動産経営管理士)、宅地建物取引士、AFP、 証券外務員二種 ◆経歴◆ IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、 不動産コンサルタント、二代目大家。 不動産投資は2012年にサラリーマン大家として開始。 実家が個人の地主系大家のため、 相続対策として法人化を実行し現在に至る。 サラリーマン時代は不動産ポータルサイト「HOMES」の 運営会社でエンジニアを勤め、不動産会社向けシステムの開発に従事。 現在は不動産、金融両方に精通したIFAとしてコンサルティングに従事。
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