渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第175回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 同族会社の株式の相続税評価について、
注意するべきことはありますか?
A
非上場会社の株式(合同会社の場合は、出資金)の評価は、「純資産価額」と、
「類似業種比準価額」をミックスして、算出することになっています。
一般的には類似業種比準価額が低くなることが多いため、
純資産価額とミックスされることで評価は大きく下がります。
しかし、類似業種比準価額が使えない場合があるのです。
特定の条件に該当する会社は「特定の評価会社」として扱われ、
純資産価額方式での評価が強制されます。
このような会社の株式を相続する場合は、
株価が高くなる可能性がありますので注意が必要です。
1.特定の評価会社とは?
特定の評価会社とは、通常の事業会社とは異なる資産保有状況や
営業状態にある会社のことを指します。
これらは上場会社を比較することが合理的でないと判断されるため、
類似業種比価額が適用できないことになっています。
(1)開業後3年未満の会社等
開業間もない会社は、利益や配当、
純資産が安定していないことがあるため比較できないと判断されます。
また、相続直前に会社を設立して相続税を回避するような
行為を防ぐ目的もあります。
(2)比準要素数0の会社
類似業種比準価額方式で使用する3つの比準要素(配当金額、利益金額、簿価純資産価額)のうち、
直前期末の比準要素がすべて0である会社も、
比較することが相応しくないため、
純資産価額方式で評価します。
(3)株式等保有特定会社
総資産の大部分が株式等で占められている会社の株式は、
純資産価額方式で評価します。
(4)土地保有特定会社
総資産の大部分が土地等で占められている会社の株式も、
純資産価額方式で評価します。
(5)開業前または休業中の会社の株式
開業前または事業活動を休止している会社は通常の営業活動を行っていないため、類似業種比準価額方式での評価が適切でないと考えられるためです。
(6)清算中の会社の株式
清算中の会社についても、
通常の営業活動を行っていないため清算の結果分配を受ける
見込みの金額を基に評価します。
2.まとめ
特定の評価会社に該当する場合、
純資産価額方式での評価が強制されるため、
通常よりも株価が高く評価される可能性があります。
特に、含み益のある資産を多く保有している会社では、
純資産価額が高くなることがあります。
いかに特定の評価会社に該当しないようにすることが、
株価対策になるのです。
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