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速報!令和6年度税制改正④令和6年から適用される法令等

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第144回

令和5年12月22日に閣議決定された、
令和6年度税制改正大綱から、
大家さんに影響がありそうな税制改正を、ピックアップして解説していきます。

税制によって大家さんの経営に大きな影響が与えられます。
どんな改正がされるのか。
どのような対応をすればよいのか。
一緒に考えていきましょう。

なお、税制改正は、まだ正式に決定されておりませので、
ご注意ください(例年3月の国会承認で決定)。

今回は、令和6年から適用される法令等を中心に解説していきます。

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●電子帳簿保存法
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令和4年からスタートするはずだった電子帳簿保存法が、
猶予期間2年間を経ていよいよ令和6年から適用されます。
令和6年税制改正大綱では延期などの内容がないため予定通り
令和6年1月1日から開始されます。

最低限抑えておくべきことは、
⚫紙でもらった請求書や領収書
⇒紙で保存OK
⚫電子データでもらった請求書や領収書
⇒電子で保存が必要

保存要件など細かいことはありますが、当面の間は、税務調査の際に、
◯電子取引データのダウンロードの求め
◯電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求め
にそれぞれ応じることができていればよいことになっています。

データでもらった資料を紙に印刷して
電子データを消去しないようにしておいてください。

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●贈与のルール変更
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(1) 暦年贈与
令和6年以後の贈与から、相続税課税の対象にする制度(生前贈与加算)について、
7年以内の生前贈与まで対象となります。

なお、延長された4年間(相続開始前7年以内のうち直前3年以外)に
贈与された財産については、
合計額から100万円を控除した残額が相続税の課税対象となります。

(2) 相続時精算課税制度
令和6年以降の相続時精算課税制度による贈与については、
2,500万円の非課税枠とは別に年間、
基礎控除110万円を控除できることになります。

相続税課税の対象についても110万円を控除した後の金額が対象になります。
相続直前の贈与で110万円以内の贈与であれば
贈与税も相続税もかからないことになります。

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●財産債務調書の対象者の拡大
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令和5年度(令和6年提出分)から
財産債務調書の対象者や期限が変更になります。
「その年の12月31日において有する財産の価額の
合計額が10億円以上である居住者」も提出義務者に含まれます。

所得要件がありませんので、10億円以上財産があれば
(借入金は差し引けません)、
所得がいくら少なくても(申告していない人でも)対象者になるということです。
また、提出期限は翌年6月30日(これまでは翌年3月15日)までに変更されています。
対象者は令和6年6月30日までの提出が必要になります。

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●マンションの相続税評価見直し通達
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マンションの建築時期や購入時期に関わらず、
令和6年1月1日以後に相続、
遺贈又は贈与により取得した財産の評価について適用されます。

対象となるのは、一室を切り売りできるいわゆる分譲マンションです。
タワーマンションに限らず、
小規模のマンションであっても相続税が上がる影響を受けます。

1棟の賃貸マンションやアパートは改正の対象外です。
しかし、所有者が1人の1棟の賃貸マンションでも
区分登記をされていれば対象となります。
さらに、都心だけではなく、
全国共通で影響を受ける内容になっています。

この内容は、時価(市場価格)と相続税評価額(路線価評価)との間に
大きな乖離がある場合に、相続税評価を時価に近づけることを趣旨としています。

相続税評価が時価の6割を下回った場合には、
6割(一戸建ての評価水準の平均値)に修正されることになります。

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●相続登記の義務化
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2024年(令和6年)4月1日から
相続登記の義務化が施行されます。

相続人は不動産の取得を知ってから三年以内に登記しなければなりません。
違反には十万円以下の過料を科されることになります。

改正前の過去の相続についても適用されることに注意が必要です。
(1) 令和6年4月1日
(2) 自己のために相続開始があったことを知り、
かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日
のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を行う必要があります。

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〇大家さんへの影響と対応策
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マンション評価の見直し通達は大きな影響があります。

賃貸物件でも対象となる場合があります。
例えばマンション一棟をひとりで所有しているが、
その各部屋を区分所有している場合です。
しかも、土地の評価については
時価<相続税評価額の場合は時価を採用することはできずに、
従来の相続税評価額で評価することになります。
この通達による有利な評価は使えないことになります。

1棟の賃貸マンションを区分登記されている方は、
相続税が上がる可能性がありますのでご注意ください。

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◯リアル参加の場合
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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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