渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第146回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 法定相続分で分けないとダメ?
A
民法第900に法定相続分が定められています。
そこには、「子及び配偶者が相続人であるときは、
子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、
各自の相続分は、相等しいものとする。」
と書かれています。
しかし、この法定相続分に従わなければならないことではありません。
この法定相続分とは、分け方の目安のようなものです。
相続人全員の合意があれば(遺産分割協議)、どのように配分してもよいことになります。
例えば、子どもが3人いたときに、1人が全部もらうことにしても問題ありません。
また1人だけが何ももらわないことを決めても問題ありません。
全員が納得すればよいのです。
なお、遺言書があれば、そこに記載されている内容に従うことが原則です。
しかし、遺留分を侵害している場合には、
侵害されている相続人は遺留分減殺請求ができます。
遺留分とは、最低限保証される相続分のことです。
法定相続分の1/2が遺留分となります。
ただし、相続人が直系尊属のみの場合は1/3が遺留分、
兄弟姉妹には遺留分がありません。
また遺留分を侵害しても、遺留分を請求するかどうかは相続人次第です。
権利があっても行使するかどうかは相続人の判断に任せられているのです。
ですから、遺留分を侵害したことが違法ということではありません。
さらに、遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、
遺言書に従わないことも可能です。
こちらも相続人全員が納得すればよいのです。
「法定相続分で分けないといけないのではないか?」と思う必要はないのです。
相続人が納得して、揉めなければどのような分け方をしても、
国や税務署などからとやかく言われることはないのです。
しかし、相続人が自由に決めてよいとされているからこそ、
揉めごとになるのかもしれませんね。
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