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路線価よりも低い土地。どうやって評価する?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第159回

今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 
相続税の計算では、土地はどのように評価するのでしょうか?
路線価よりも市場価格の方が低いのですが、
路線価で評価しなければならないのでしょうか?

A
1.土地の相続税評価の原則
相続税の計算における財産の評価は、財産評価基本通達に規定されています。
土地は、路線価がある場合には、路線価。
路線価がない場合には、
固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算する倍率方式で
算出するように規定されています。

路線価は一般的には、時価よりも低く設定されていますが、
地域によっては路線価よりも時価の方が低いこともあります。

このような場合でも路線価で評価しなければならないのでしょうか。
財産評価基本通達の総則では、「財産の価額は時価による」としています。

さらに、「時価とは、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に
通常成立すると認められる価額をいう」
としています。
市場価格で評価することも認められるように規定されているのです。

2.鑑定評価で評価できるか
不動産において市場価格がいくらかと証明することは難しいのが現実です。
国家資格である不動産鑑定士が作成する鑑定評価が市場価格を
客観的に証明できる方法ですので、
鑑定評価の金額を相続税評価にすることが考えられます。

しかし、全ての鑑定評価が認められるわけではありません。
土地は個別性が強く、鑑定評価で認められるかどうかはケースバイケースです。

3.売却することで路線価よりも低い売買金額を採用できるか
では、相続後に土地を売却し、
その売買金額が路線価よりも低ければ、
売買金額を相続税の計算に使えるでしょうか。
これも、一定の条件を満たさない限り、認められません。

例えば、売却先が親族であれば、
意図的に価格を下げたと見られてしまう可能性があります。
また、親族以外の第三者に売却したとしても、売り急ぎによって、
低い売却金額になったと見られてしまうこともあります。

あくまでも相続時時点の価格であることが前提なのです。
相続時点から時期が離れての売却となると難しくなります。

上記の事情がなければ、売買金額が使える可能性がありますので、
売却を検討するのも一つです。

いずれにしても、路線価を使わない方法にはリスクがあるため、
慎重は判断が必要です。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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