不動産譲渡所得の際の不動産鑑定評価の活用例
皆さん、こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
相変わらず、新型コロナウィルスの陽性者数が落ち着かない状況が続いております。
皆様におかれましては、
何かと動きにくい状況が続きますが、どうぞ、
引き続きご留意いただきくともに、
新型コロナウィルスの一日も早い終息を祈念致します。
不動産譲渡所得の概算取得費について
投資家の皆様は、出口戦略等も含め、また、ご自宅等も含め、
遠い将来若しくは近い将来、不動産を譲渡する可能性がある(少しはある?)
と思われます。
その際、譲渡所得が出る場合も多いと思いますが、
その譲渡所得に対して税金が課せられます。
今回は、不動産の譲渡所得税が生じる場合に、
概算取得費の算出の際に不動産鑑定評価の活用により、
合理的に節税できる事例をお伝えします。
国税庁でも、「不動産の譲渡費用の算出の際に、土地や建物の取得費が不明であったり、
実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、 譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。」との説明があります。
「市街地価格指数」では否認される可能性も?
概算取得費の代替計算方法として、不動産研究所が出している
「市街地価格指数」により算出している場合があります。
しかし、この場合は否認される可能性もあることをご留意ください。
主な理由としては、「六大都市圏の市街地価格指数が、
必ずしも対象土地の地域性や個別性を反映したものではない。」からとのことです。
不動産鑑定評価の活用例
そこで、もっとも合理的な手段として、
その取得当時の過去時点における不動産鑑定評価を活用することにより、
きちんと整合の取れた、妥当性を有する概算取得費の計算が可能となります。
この評価手法は通常の現在時点の不動産鑑定評価の手法の2.5~3倍くらい 手間がかかります。
私が編み出した独自の手法になります。
勿論、全てのパターンで譲渡価額の5%を超えるというわけではなく、
お声がけいただいた中の約3割は、おおよその価格算出の段階で譲渡価額の5%に及ばず、
鑑定評価に至らない場合もあります。
地域により異なりますが、平均すると昭和50年前後が一つの目安と考えております。
例えば、
①昭和45年前後に取得した「世田谷区内の住宅地」の土地評価の際に、
鑑定評価を行うことにより譲渡価額の約20%程度が概算取得費になった事例もあります。
一方で、
②地方の案件で、現在は「ロードサイド店舗の敷地」ですが、昭和50年当時取得した際には、
現況が「畑」であったため譲渡価額の5%に満たなかった事例もあります。
この場合は鑑定評価にまで至らず、もし「畑」でなく「宅地」であったならば譲渡価額の10%は超えていた案件でした。
いずれにしましても、不動産譲渡税がかかる場合には、
不動産の鑑定評価を活用する方法もあるということを、 頭の片隅に入れていただきましたら、
今後の投資活動の一助になる場合もあるかと思いまして、今回投稿させていただきました。
次回も、不動産鑑定評価の活用方法を、別の観点からお伝えさせていただきます。