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そもそも損益分岐売却金額って何?|不動産投資の売却金額の判断方法

東京の中心で税務を叫ぶ 第50回コラム

そもそも損益分岐売却金額って何?

こんにちは!
前回、物件売却時の手残りの計算方法をご紹介しました。
前回のコラムはこちら

売却金額-借入金残債-売却諸費用-売却にかかる税金=手残り

売却時の手残りがマイナスになってしまう場合はどうなる?

 

この場合、売却金額で借入金の残債を返済できなかったり、
売却にかかる税金を支払えないことになります。

そこで、最低でもいくら以上で売却したら手残りがプラスになるかを
事前に把握しておく必要があると思います。

売却金額の最低ラインはどう考えればよい?

この売却金額の最低ラインを「損益分岐売却金額」といいます。

損益分岐売却金額は、売却時の手残りが0円になる売却金額ということになりますので、
式で表すと下記になります。

損益分岐売却金額-借入金残債-売却諸費用-売却にかかる税金=0円

短期譲渡もしくは長期譲渡の場合の計算方法

この式の方程式を解くように、「損益分岐売却金額=×××」
という形に変形させると下記の式になります。

短期譲渡の場合
損益分岐売却金額=(残債金額-簿価金額×0.3963+39,844)÷ 0.58377

長期譲渡の場合
損益分岐売却金額=(残債金額-簿価金額×0.20315+52,592)÷ 0.77055

ちょっと不思議な計算式になりますが、
① 売却諸費用(仲介手数料)と②売却に係る税金(譲渡税)に
下記の計算式を代入して方程式を解くと、上記のようになります。

①=(損益分岐売却金額×3%+6万円)+消費税
②=(損益分岐売却金額-簿価-①)×39.63%(短期譲渡の場合)
②=(損益分岐売却金額-簿価-①)×20.315%(長期譲渡の場合)
(あくまでも概算数値になりますので、実際の手残りと若干差が出ます。)

毎年変化する損益分岐売却金額

この損益分岐売却金額は、毎年変わっていきます。
借入れの返済が進めば残債金額が減っていきますし、簿価金額も、減価償却をしていくことによって減っていくからです。
毎年変化する損益分岐売却金額を把握しておくことが大切です。

 

まとめ

①損益分岐売却金額とは、売却時の手残りが0円になる売却金額

②売却を検討する際は、まずは損益分岐売却金額以上で売却できるか確認しましょう。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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