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準確定申告の税金を長男が全額負担、これって大丈夫?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第239回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q被相続人の準確定申告の納税額を相続人間の遺産分割協議で法定相続分以外で負担することができますか?

A
結論から申し上げると、ハザードマップ内にあるというだけでは
自動的に評価減が認められるわけではありませんが、
一定の条件を満たせば減額できる場合があります。

1.原則としての相続税評価
相続税における土地評価は、
国税庁が定める路線価方式や倍率方式に基づいて行われます。
この評価基準は、市場の心理的要因や将来の災害リスクまでは織り込んでいないため、
ハザードマップ上でリスクが指摘されている土地であっても、
それだけで評価額が下がる仕組みにはなっていません。

ただし、土砂災害防止法に基づく「土砂災害特別警戒区域」、
いわゆるレッドゾーンに指定されている宅地については、
2019年(平成31年)以降、財産評価基本通達20-6により
明確な評価減が認められるようになりました。

レッドゾーン内では建築構造の規制や移転勧告
といった法的制限が課されることから、
宅地としての利用価値が大きく低下すると判断されたためです。

具体的な減額幅は、土地全体に占める
レッドゾーン部分の面積割合によって決まります。

・面積割合10%以上:10%減額
・面積割合40%以上:20%減額
・面積割合70%以上:30%減額
という段階的な補正が適用されます。

2.洪水・津波の浸水想定区域やイエローゾーン
一方で、洪水の浸水想定区域、
津波浸水想定区域、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)などについては、
法律上の建築制限がないことから、評価通達上の直接的な
減額規定は設けられていません。

国税庁も「イエローゾーンは宅地利用が法的に制限されないため、
相続税評価上の減価補正の対象としない」
と説明しており、レッドゾーンとの差別化が図られています。

とはいえ、レッドゾーン以外のハザードエリアでも
評価減が認められる道がないわけではありません。
財産評価基本通達には「利用価値が著しく低下している宅地」
として10%の評価減を適用できる規定があり、
災害リスクがこれに該当すると判断されれば減額が可能です。

ここで重要なのは、
「周辺の他の土地と比べて、その土地だけが特別に不利な状況にあるか」
という点です。

例えば、ある土地が洪水ハザードエリア内にあったとしても、
周辺一帯がすべて同じ浸水想定区域であれば、
それは付近の宅地に共通する事情であり、
その土地だけが著しく利用価値が低下しているとは認められません。

実際、令和6年9月の裁決事例でも、
「浸水予想区域内に所在することは付近の宅地に共通する事情であり、
取引価額に影響を与える特段の事情とはいえない」として、
相続人の10%評価減の主張が退けられています。

3.評価減が認められるケース
しかし、すべてが否認されるわけではありません。
ある事例では、
イエローゾーン全域に位置する土地の路線価が、
隣接する非ハザード区域の土地と同じ価格で設定されていました。

その市では固定資産税評価においては
ハザード区域の減価補正が行われていたにもかかわらず、
相続税の路線価にはそのリスクが反映されていなかったのです。

この矛盾を指摘する意見書を税務署に提出したところ、
「利用価値が著しく低下している宅地」として
10%の評価減が認めらたケースがあります。

4.まとめ
ハザードマップ内の土地だからといって
一律に評価減が認められるわけではありませんが、
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)であれば
通達に基づく減額が適用されます。

それ以外のハザードエリアでも、
周辺との比較で明らかに不利な事情があり、
かつ路線価や固定資産税評価にそのリスクが反映されていない場合には、
「利用価値が著しく低下している宅地」として
減額が認められる可能性があります。

個別の判断が必要となりますので、
該当する土地をお持ちの方は、
ハザードマップの確認とあわせて、
相続税に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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