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空いている区画も、小規模宅地等の特例の対象になる?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第268回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。


Q
20台分の月極駐車場(200㎡・アスファルト舗装済み)を
長年運営しています。
満車のときもありますが、
たいていは2台から3台分ほど空いています。

小規模宅地等の特例は、
空いている区画について適用は受けられませんか?
実際に埋まっている区画の分しか
対象にならないのでしょうか?

 

 

A
募集を続けており、
その区画を自家用車の置き場などに使っていないのであれば、
空いている区画も含めて対象になると考えられます。

1.判定の原則と例外
貸付事業用宅地等とは、
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に
供されていた宅地等をいい、
そのうちに貸付事業以外の用に供されていた
部分があるときは、
貸付事業の用に供されていた部分に限られます。

この判定は、
相続開始の時において現実に
貸付事業の用に供されていたかどうかで行うのが原則です。

しかし、租税特別措置法関係通達69の4-24の2では、
貸付事業の用に供されていた宅地等には、
その貸付事業に係る建物等のうちに相続開始の時において
一時的に賃貸されていなかったと
認められる部分がある場合における、
その部分に係る宅地等の部分が含まれることに
留意する、としています。

一時的に空いているだけの部分は、
貸していたものとして扱ってよいという例外です。

2.駐車場の空き区画に、この通達は及ぶか
この通達の文言もともとはアパートなど、
一棟のなかに複数の部屋がある建物を想定しています。

駐車場についてもこの規定が当てはまると考えます。

相続開始の時に、
駐車場の一部が空いていたとしても、
不動産管理会社で募集活動をしており、
被相続人等の車の駐車場などには使われていないということであれば、
被相続人の貸付事業の用に供されていたと考えて差し支えない、
とする実務家の見解もあります。

問われているのは、
その区画がなお貸付事業のなかにあるか、
それとも事業から離れてしまったか、です。

次のような事情は、対象から外れる可能性があります。
・空いた区画に自分や家族の車を置いている
・物置や資材置場として使っている
・募集を取りやめ、そのまま放置している
・大半の区画が長期間にわたって空いたままになっている

3.「募集していれば足りる」わけでもない
通達の注記は、
新たに貸付事業の用に供する建物等を建築中である場合や、
新たに建築した建物等に係る賃借人の募集その他の貸付事業の
準備行為が行われているに過ぎない場合には、
その建物等に係る宅地等は貸付事業の用に
供されていた宅地等に該当しない、としています。

つまり、募集さえしていれば要件を満たす、
という話ではありません。

募集が意味を持つのは、
すでに動いている貸付事業があって、
その一部が一時的に空いている――という関係にあるときです。

駐車場を開いたばかりで、
まだ一台も契約が入らないまま相続が起きた、
という場合は、これに当たりません。
準備行為の段階にとどまるとみられる可能性があります。

4.備えは、記録を残すこと
募集をしていたかどうかは、
あとから証明しなければなりません。

相続が起きてから振り返って、
「ずっと募集していました」と口で言うだけでは心もとないのです。
残しておきたいのは、次のようなものです。
・管理会社との募集委託契約書、やりとりの記録
・募集広告の掲載履歴、ポータルサイトの掲載画面
・区画ごとの契約状況が分かる管理表(いつ空き、いつ埋まったか)
・賃料の入金記録

区画ごとの管理表は、
空き区画の説明だけでなく、
どの区画を誰に貸しているかを示す資料にもなります。
日頃つけておく価値は十分にあります。

5.まとめ
駐車場に空き区画があっても、
それだけで特例の対象面積が削られるわけではありません。
募集を続け、他の用途に転用していなければ、
一時的に賃貸されていなかった部分として、
貸付事業の用に供されていた宅地等に含まれると考えられます。

ただし、駐車場の空き区画を直接扱った
国税庁の公表事例はなく、
最終的には実態にもとづく事実認定の問題になります。
判断が分かれる場面も多いので、
迷ったら、募集の記録と区画ごとの契約状況を
整理したうえで専門家にご相談ください。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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