渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第270回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
自宅(敷地200㎡)に地続きで隣接する月極駐車場
(200㎡・アスファルト舗装)を所有しています。
20区画に区切ってあります。
このうち自宅寄りの1区画は、
私の車の置き場として日常的に使っており、
残りの19区画を近隣の方に貸しています。
小規模宅地等の特例は駐車場すべてについて適用できますか?
A
自分で使っている部分は、
貸付事業用宅地等としては対象から外れます。
ただ、その区画が自宅の敷地と
一体で使われていると認められれば、
特定居住用宅地等として拾える可能性があります。
しかも、こちらの減額割合は80%。
貸付事業用の50%より大きいのです。
1.貸していない区画は、貸付事業用にはならない
貸付事業用宅地等とは、
被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等をいい、
そのうちに貸付事業以外の用に供されていた部分があるときは、
貸付事業の用に供されていた部分に限られます
(租税特別措置法69条の4第1項、第3項4号)。
ご自身の車を置いている区画は、
誰かに貸しているわけではありません。
貸付事業の用ではないので、
面積で按分して除かれます。
2.特定居住用として拾えるか
小規模宅地等の特例には、
被相続人等の居住の用に供されていた
宅地等を対象とする特定居住用宅地等という
区分があります。
330㎡まで、80%の減額です。
自宅で暮らすうえで
日常的に使っている駐車スペースは、
住まいの敷地の一部といえます。
庭や物置の敷地が自宅の敷地に含まれるのと同じ発想です。
判断の分かれ目は、
自宅の土地とくっついているかどうかではありません。
その区画が、自宅の敷地として
使われている実態があるかどうかです。
地続きであっても、
その区画が月極駐車場の一部として管理されているなら、
住まいの敷地というより駐車場という
一つの利用単位のなかの一区画とみられます。
フェンスや区画線で他の19区画と同じように仕切られ、
同じ管理会社が面倒を見ている―
―そうした状況では、
自宅の敷地の延長とは認められにくいでしょう。
逆に、自宅の門から続く場所にあり、
日常の出入りに使い、
他の区画とは明確に分けられている。
そうした実態があれば、
住まいの敷地の一部という説明が立ちます。
平成21年12月14日裁決では、
自宅の敷地・庭・家庭菜園に使われていた部分と、
月極駐車場に使われていた部分とがある土地について、
境にフェンスや低層ブロック塀・金網フェンスが
設けられていた状況のもとで、
用途ごとに区分して判断されています。
この裁決は評価単位についてのものですが、
その考え方は、特例の場面でも参考になります。
自宅の敷地と一体の
一画地とみられる土地であれば、
特例でも自宅の敷地の一部として、
特定居住用宅地等に当たらないかを検討できます。
逆に、フェンスや区画線で他の19区画と
同じように仕切られ、
同じ管理会社が面倒を見ている状態では、
住まいの敷地の延長とは説明しにくくなります。
なお、自宅と駐車場が道路を
挟んで分断されている場合には、
そもそも敷地に接続しているとはいえず、
居住用として認められない可能性が高いと考えられています。
3. まとめ
自家用車を停めている区画は、
貸付事業用宅地等からは外れます。
ただし、自宅の敷地と一体で使われている実態があれば、
特定居住用宅地等として拾える余地があります。
分かれ目は、地続きかどうかではなく、
その区画が住まいの敷地として使われているかどうかです。
備えとしては、自宅の駐車スペースを
月極の区画とは物理的にも管理のうえでも分けておくこと。
居住用といえるかどうかは実態にもとづく判断で、
分かれる場面も多いところです。
迷ったら、
敷地の配置図と区画の使い方を
整理したうえで専門家にご相談ください。



