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管理人を置いて営む駐車場。事業なら80%減額になる?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第271回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。


Q
200㎡の土地で有料駐車場を営んでいます。
管理人を置いて車の出入りを見てもらい、
お預かりした車に責任を負う形をとっています。
精算機やゲートも自分の費用で設置しました。

所得税では、この駐車場の収入を事業所得として
青色申告しています。
つまり、管理人を雇い、設備を入れて、
自分で事業を営んでいるわけです。

これなら小規模宅地等の特例も、
特定事業用宅地等として
400㎡まで80%の減額になると考えてよいのでしょうか?

 

A
残念ながら、貸付事業用宅地等として、
200㎡まで50%の減額にとどまります。
どれほど事業らしく営んでいても、
駐車場である限り、
80%の区分には入らないのです。

1.貸付事業の定義
小規模宅地等の特例には、
事業用の土地について二つの区分があります。
一つは特定事業用宅地等で、400㎡まで80%の減額。
その対象は、被相続人等の事業(貸付事業を除く)の
用に供されていた宅地等です。

もう一つが貸付事業用宅地等で、200㎡まで50%の減額。
その対象は、被相続人等の事業
(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業に限る)
の用に供されていた宅地等です。

駐車場業は、名指しで貸付事業の側に置かれています。
そして特定事業用のほうは、貸付事業を明示的に除いています。

とはいえ、
「管理人まで置いて、車の保管に責任を負っているのだから、
ただの土地の貸付けとは違うはずだ」と思われるでしょう。

しかし、この点は通達に答えが記載されています。

租税特別措置法関係通達69の4-13は、
被相続人等の不動産貸付業、
駐車場業又は自転車駐車場業については、
その規模、設備の状況及び営業形態等を問わず、
すべて貸付事業に該当するとしています。

管理人を置くことは営業形態の話であり、
精算機やゲートを入れることは設備の状況を問わないとしています。

ですから、事業らしさを積み上げても、
貸付事業から抜け出すことはできないのです。

2.所得税で事業所得でも、変わらない
所得税では、管理人などを置き、
自己の責任において他人の物を保管する有料駐車場の所得は、
事業所得(規模が小さければ雑所得)となり、
そうでない駐車場の所得は不動産所得になります
(所得税基本通達27-2)。

管理人を置いて保管の責任を負う形は、事業所得になるのです。
そのうえ、個人事業税でも駐車場業として課税されます。

確定申告では事業所得、県からは駐車場業として事業税。

それでも、小規模宅地等の特例では貸付事業用どまり―
―同じ「事業」という言葉が、制度ごとに違う働きをしているのです。

所得区分は所得税のルール、
事業税の認定は地方税のルール、
そして特例の区分は租税特別措置法の
ルールで運用されるのです。

3.事業としていることが有利になる場面
では、管理人を置いて事業として営んできたことは、
この特例では何の意味も持たないのでしょうか。
そんなことはありません。

相続開始前3年以内に新たに始めた貸付けは、
原則として特例の対象から外れるという制限です。
ただし、相続開始の日まで3年を超えて
特定貸付事業を行っていた場合には、
この制限を免れます。

この特定貸付事業に当たるかどうかの判定に、
まさに事業性が使われます。

租税特別措置法関係通達69の4-24の4は、
貸付事業の対象が駐車場又は自転車駐車場であって
自己の責任において他人の物を保管するものである場合について、
その貸付事業が事業所得を生ずべきものとして
行われているときは特定貸付事業に該当し、
雑所得を生ずべきものとして行われているときは
準事業に該当する、としています。

管理人を置き、事業所得として申告している駐車場は、
この定めによって特定貸付事業に当たります。
ですから、たとえば3年前に新たに
別の土地で駐車場を始めていたとしても、
3年のしばりで弾かれずに済むのです。

自己の責任において他人の物を保管する駐車場を、
まず貸付事業の内側に置いたうえで、
そのなかで特定貸付事業か準事業かに振り分けている。

事業性は、80%への切符ではなく、
50%を守るための盾として働く―
―そう整理すると分かりやすいでしょう。

4.まとめ
管理人を置き、設備を入れ、
事業所得として申告している駐車場であっても、
小規模宅地等の特例では貸付事業用宅地等にとどまります。

なお、80%になる駐車場がまったくないわけではありません。
たとえば自分で営む店舗の来客用駐車場のように、
駐車場そのものが目的ではなく、
ほかの事業を支えるために使われている場合は、
その事業の敷地の一部として特定事業用宅地等の検討余地があります。

どの区分に当たるかは実態にもとづく判断で、
分かれる場面もあります。
迷ったら、契約や運営の状況、
確定申告の内容を整理したうえで
専門家にご相談ください。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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