渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第275回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
アパートの隣地(別筆)を舗装して駐車場にし、
入居者に貸しています。
アパートの敷地と合筆することで、
この駐車場についても、
住宅用地として固定資産税が軽減されますか?
A
合筆しなくても軽減されます。
住宅用地にあたるかどうかは、
筆ではなく、どう使われているかで決まるからです。
ただし、入居者以外に貸している区画があると、その部分は外れます。
1.判断の単位は「筆」ではない
住宅用地とは、住宅の敷地の用に供されている
土地で政令で定めるものをいいます(地方税法349条の3の2第1項)。
駐車場をどう扱うかは、条文に書かれていません。
埋めているのは通達です。
「敷地の用に供されている土地」とは、
特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果すために
使用されている一画地の土地で、
賦課期日現在において当該家屋の存するものをいう
(地方税法の施行に関する取扱いについて
(市町村税関係)第3章第2節第1の20(1))。
鍵は「一画地」です。
その認定について、平成9年4月1日 自治固第13号は、
道路、塀、垣根、溝等によって
他の土地と区分して認定するものとし、
明確な境界がない場合には土地の使用の実態によって認定するとしています。
そして、数筆の土地が一体として
利用されているような場合には、
数筆にわたって一画地を認定するとしています。
筆が分かれていること自体は、
障害になりません。
だから合筆は要らないのです。
逆にいえば、合筆したからといって
住宅用地になるわけでもありません。
見られるのは、登記簿の筆割りではなく、
使われ方のほうです。
2.決め手は、区切りの有無ではなく動線
では、何をもって一画地と見るのか。
参考になるのが、
東京地裁 平成28年11月30日判決(平成27年(行ウ)421号)です。
介護付有料老人ホームの附属駐車場9か所が争われ、
納税者が勝ちました。控訴審でも維持され、確定しています。
判決は、土地と住宅の形状や利用状況等を踏まえ、
社会通念に従い、
その土地が住宅を維持し又はその効用を
果たすために使用されている
一画地の土地であるかどうかで判断すべきだとしました。
注目したいのは、
区切られていた区画の扱いです。
駐車場の一部は、
植木や柵で住宅側と区切られていました。
普通に考えれば、別の画地と見られそうなところです。
しかし判決は、柵の一部に扉があり、
そこから住宅側に立ち入って道路へ通行できることから、
形状上一体であることは否定されない、としました。
区切る工作物があるから駄目、
ではないのです。行き来できるかどうかで見ます。
裏を返せば、間に公道が通っていて行き来が
断たれている駐車場は、
同じ所有者の土地でも別の画地になります。
3.使っているのが入居者でなくてもよい
もう一つの軸が、利用の実態です。
先の事件では、
入居者で自ら運転して駐車する人は一人もいませんでした。
使っていたのは、来訪者、
入居者が呼ぶタクシー、訪問診療や清掃、
リネンの業者です。送迎車のための区画もありました。
東京都は、専ら当該住宅の居住者のための施設であることを要し、
さらに居住者自らが利用する施設であることを要する、と主張しました。
判決は、そう解すべき法令上の根拠はない、
としてこれを排斥しています。
来訪者の利用は入居者の生活のためのものであり、
業者の利用も、建物を一括で借りている
事業者の事業のためであると同時に
入居者の生活のためのものである。
そう認定して、一体性を認めました。
アパートに引き直せば、入居者の来客が停める、
管理会社が点検で停める、
そうした利用があっても一体性は失われないということです。
4.ただし、外縁はある
住宅と全く関わりのない者が利用している駐車場については、
社会通念上、これを当該住宅を維持し又はその効用を果たすために
使用されている土地と評価する余地はない。
外部への月極貸しは、ここに当たります。
駐車場がそれ自体で独立して収益を生んでいるなら、
アパートの効用を果たすための土地とはいえない、という理屈です。
入居者用と外部貸しが混在している場合は、
全体を一画地として見たうえで、
住宅用地にあたる部分と
非住宅用地にあたる部分の面積をそれぞれ認定します。
市町村の認定要領にも、
月極駐車場の部分を非住宅用地と認定する図例が載っています。
縁石や白線で外部貸しの区画を分けておくことは、
そのまま切り分けの根拠になります。
5.まとめ
合筆は必要ありません。
また、登記の地目が異なる土地どうしは、
合筆できないからです。
アパートの敷地が宅地で、
駐車場が雑種地のままであれば、
この壁に当たります。
費用をかけて登記を動かす前に、
確かめるべきは使われ方のほうです。
一体利用にあたるかどうかは、
実態で分かれます。
配置図と駐車場の契約状況を整理したうえで、
専門家にご相談ください。
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