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マイホームを賃貸住宅に転用した場合の耐用年数は何年?

東名阪を駆け抜ける コラム 第5回

わかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q.マイホームを賃貸住宅に転用した場合の耐用年数は何年?
私は、平成31年3月に、自宅用として建築後4年9か月が経過している
木造住宅を7,000万円(建物代金3,000万円)で取得しました。
しかし、子供2人が大学を卒業して、家を出ていったため、
駅近の分譲マンションを購入して夫婦で住み、
木造住宅は賃貸に回しました。
賃貸は令和6年5月からになります。
この場合の建物の耐用年数は何年になりますか。

A.中古の木造住宅を取得して賃貸住宅とした場合、
その中古住宅に係る減価償却費の計算に使う耐用年数は、
その取得後の使用可能期間を見積って用いることになります。
しかし、取得した中古住宅の使用可能期間を合理的に
見積ることは難しいことが多いです。

したがって、「簡便法」ではありますが、
次の方法が用いられます。
①その中古住宅が法定耐用年数(木造住宅の場合は22年)を経過している場合
4年(法定耐用年数の20%に相当する年数)

②その中古住宅が法定耐用年数(木造住宅の場合は22年)の
一部を経過している場合その法定耐用年数(22年)から
経過年数(4年9か月)の
80%(4年)を控除した年数(18年)

ご質問の場合、事業の転用後の耐用年数は18年となりますが、
減価償却費を計算する際には、転用時の資産価値を求めることが必要です。
転用時の価値を求めるには次の情報が必要です。

建物の取得価額 3,000万円(ご質問の場合、以下同じ)
償却方法:旧定額法(個人使用期間の減価償却は、旧定額法で計算します)
耐用年数 建物の耐用年数×1.5倍 = 33年(木造住宅22年の場合)
償却率:旧定額法の耐用年数33年の償却率 0.031
個人使用期間の年数:5年(6か月未満は切り捨て)

これらの情報をもとに、個人使用期間の減価償却費を計算します。
取得価額3,000万円×0.9×償却率0.031×個人使用期間5年=418.5万円
次に取得価額からこの減価償却額を差し引いて転用時の未償却残高を算出します。
取得価額 3,000万円 ― 個人使用期間の減価償却額 418.5万円 = 2,581.5万円
この転用時の未償却残高(2,581.5万円)と耐用年数18年を用いて、
事業転用後の減価償却費を計算します。

なお、個人が中古住宅を取得した場合において、
その中古住宅を賃貸の用に供するために多額の資本的支出をした場合には、
上述した簡便法は使えず、
資本的支出の度合いによって耐用年数を見積りますので注意が必要です。

①賃貸の用に供するために行った資本的支出の額がその中古住宅の
「取得価額」の50%相当額を超える場合
その改良後の中古住宅について実際に見積った耐用年数で減価償却費の計算を行います。
ただし、次の方法で、(残存)耐用年数を計算することも認められています。
残存耐用年数 ⁼ A ÷ (B + C)
A = その中古住宅の取得価額(資本的支出の額を含む)
B = その中古住宅の取得価額(資本的支出の額を含まない)
÷ その中古住宅につき上述した「簡便法」により算定した耐用年数
C = その中古住宅の資本的支出の額 ÷ その中古住宅に係る法定耐用年数
②その支出した資本的支出の金額がその中古住宅の
「再取得価額」の50%相当額を超えている場合
中古住宅の法定耐用年数によります。

ABOUT ME
神﨑 健二
1980年5月生まれ。 公認会計士として大手監査法人に17年在籍。 主に金融機関の監査にかかわり、その中で不動産融資に興味をもつ。 独立して税理士事務所を開業しようと考えた際に、 Knees bee税理士法人に出会い関与。
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