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購入前に「長期修繕計画書」はなぜ必要? ~分譲マンション投資の魅力~

購入前に「長期修繕計画書」はなぜ必要?
~分譲マンション投資の魅力~

分譲マンションを購入する際、多くの方が間取りや立地、
価格に目を奪われがちです。
しかし、本当に賢い投資家が必ず確認するのが「長期修繕計画書」です。

1.長期修繕計画書とは何か
長期修繕計画書とは、マンション全体の共用部分を維持し、
老朽化を防ぐために管理組合が作成する長期的な修繕計画のことです。

通常、管理会社や一級建築士事務所に作成を依頼し、
国土交通省のガイドラインでは新築は30年以上、
既存マンションは25年以上の期間で策定することが推奨されています。

実務上は、新築・既存を問わず30年計画で作成されることがほとんどで、
原則として5年ごとに更新されます。

この計画書は「大規模修繕を12年ごとに行う」
といった大まかな指針にとどまりません。
修繕工事を仮設工事、防水工事、給排水工事、
電気設備工事、消防用設備工事など19項目に細分化し、
それぞれの工事を「いつ」「いくらで」実施するかを一覧表にまとめています。
これにより、各年の工事費予想額と、
0年間で必要となる工事総額が明確になるのです。

2.修繕積立金との密接な関係
長期修繕計画で算出された工事費用は、
修繕積立金から支払われます。
具体的には、30年間の工事総額を世帯数(専有面積割合)で割り、
さらに月割りすることで毎月の修繕積立金が決まります。

一般的なマンションでは、
実務上の水準として1㎡あたり月250〜330円程度、
70㎡なら月17,500〜23,100円前後が一つの目安といえます。
この水準を大幅に下回っている場合、
将来的に大きな値上げが待っている可能性が高いと考えるべきでしょう。

たとえば、築10年のマンションで15年後に3
億円の大規模修繕が計画されているにもかかわらず、
現在の積立金残高が5,000万円しかない場合、
どうなるでしょうか。
月額8,000円の修繕積立金が、
数年後には2万円以上に跳ね上がる可能性も十分にあり得ます。
長期修繕計画書を確認すれば、
こうした将来のリスクを事前に把握できるのです。

3.計画だけでなく「実績」も確認する
長期修繕計画書の重要性を理解したところで、
一つ注意点があります。
それは、計画書だけを鵜呑みにしてはいけないということです。
「30年先まで計画されている」と書かれていても、
実際にそのとおり実行されているとは限りません。

そこで重要になるのが「修繕履歴」との照合です。
長期修繕計画と修繕履歴を並べて分析することで、
計画どおりに大規模修繕が実施されてきたか、
鉄部塗装などの小規模修繕が適切に行われているか、
想定外の事故や修繕がなかったかなどを確認できます。

計画では「10年後に大規模修繕」と記載されていても、
実際にはその時期を過ぎても未実施だったり、
計画どおりの積立金が確保されていなかったりするケースもあります。
このような場合は、管理組合の運営に問題がある可能性を示唆しており、
投資判断において重要な警告サインとなります。

4.「頭のいいマンション」を見極める
分譲マンション投資において、
「見た目年齢」「健康状態」「頭の良さ」という
3つの視点で評価することを推奨しています。
長期修繕計画書は、まさにこの「頭の良さ」を測る重要な指標です。

築30年を経過した時点で健全な財務状況を維持している管理組合があるとします。
修繕積立金が十分に積み立てられ、管理費の収支もプラスで推移し、借入金もない。
長期修繕計画に基づいて着実に修繕が実行されている。
このような物件が、今後30年で急に財務状況が悪化する理由があるでしょうか。

むしろ、30年間適切に運営されてきた実績こそが、
今後の安定運営を約束する最高の証明となるのです。

反対に、長期修繕計画が何年も更新されていない、
あるいはそもそも存在しないマンションは要注意です。
管理組合が機能不全に陥っている可能性が高く、
将来的に予期せぬ出費を強いられるリスクがあります。

5.まとめ
長期修繕計画書は、マンションの「未来予想図」です。
この書類を取り寄せることで、
購入後にどのような修繕工事が何年後にいくらで実施されるのかを予測でき、
将来の資金計画を立てやすくなります。

逆に言えば、長期修繕計画書を開示してくれない物件は、
どんなに魅力的に見えても慎重になるべきでしょう。
優良な管理組合であれば、
むしろ積極的に情報を開示してくれるはずです。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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