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区分マンション特有の重要事項説明書の読み方(後編) ~分譲マンション投資の魅力~

区分マンション特有の重要事項説明書の読み方(後編)
~分譲マンション投資の魅力~

前編では専有部分と共用部分の境界、
管理費・修繕積立金、管理規約・使用細則による用途制限を、
中編では滞納の承継リスク、修繕履歴、
敷地権を確認してきました。
後編となる今回は、耐震基準と、
2026年4月に新たに説明が義務化された
管理業者管理者方式について解説します。

1.耐震基準
昭和56年6月1日より前に建築確認を受けた建物は
「旧耐震基準」に該当し、耐震性が不十分な可能性があります。
重要事項説明書では、旧耐震か新耐震かの該当性や、
耐震診断の実施状況が記載されます。

旧耐震か新耐震かの判断は、
確認済証や検査済証をもとに行われます。
これらの書類がない場合は、
建物の表題登記の日付などを代替的な根拠として用いる方法が
宅建業法の解釈・運用の考え方で示されています。

区分マンションで特に意識すべきは、
たとえ耐震補強が必要だとわかっても、
個別のオーナーが単独で対応することはできないという点です。
耐震改修工事は管理組合の意思決定に委ねられるため、
合意形成に時間がかかったり、
費用負担を巡って紛糾したりすることも珍しくありません。
戸建てであればオーナー自身の判断で耐震補強を進められますが、
区分マンションではそうはいかないのです。

同様に、敷地が接道義務を満たしていない場合の再建築可否も、
管理組合全体の問題として対処する必要があります。
個別の区分所有者が単独で解決できる話ではないため、
戸建て以上に投資リスクに直結します。

また、耐震性の問題は融資審査にも大きく影響します。
旧耐震基準の物件は、金融機関が融資に
慎重になるケースが少なくありません。
耐震診断が実施済みで問題なしと
判定されていれば有利な材料になりますが、
未実施の場合は融資のハードルが上がる可能性があります。

耐震診断の実施状況や建物状況調査の結果が
重要事項説明書に記載されている場合は、
必ず内容を確認しておきましょう。

2.管理業者管理者方式(2026年4月施行の新項目)
2026年4月1日施行の法改正により、
重要事項説明書に新たな説明項目が加わりました。
それが「管理業者管理者方式」の該当有無です。

通常のマンションでは、
管理組合の中から選ばれた理事長が管理者を務め、
管理会社はあくまで委託を受けてサービスを提供する立場です。

ところが「管理業者管理者方式」では、
管理会社自身が管理者(理事長に相当する役割)を兼ねます。

この方式の最大の懸念は、利益相反のリスクです。
管理委託契約の発注者と受注者が実質的に同じ立場になるため、
チェック機能が働きにくくなります。
例えば、修繕工事の発注先を決める際に、
管理会社が自社やグループ会社に
有利な条件で契約を結ぶ可能性があります。
工事費が割高になれば、
その負担は修繕積立金を通じて
区分所有者全体に跳ね返ってきます。

今回の法改正で説明が義務化されたことにより、
買主はこの方式に該当するかどうかを
契約前に知ることができるようになりました。

該当する物件を検討する場合は、
工事発注の監督体制や情報開示の仕組みが
どうなっているかを確認することが重要です。

総会議事録を読めば、管理会社と
管理組合の関係性や、区分所有者から
利益相反に関する質問・指摘が出ているか
どうかがわかります。
監事による監査体制が機能しているか、
外部の専門家によるチェックが入っているかなども、
判断材料になるでしょう。

3.まとめ
重要事項説明書は、
法定の最低限の説明事項を列挙したものに過ぎません。
これだけで物件のすべてがわかるわけではないのです。
区分マンションの実態を本当に把握するためには、
管理規約、使用細則、総会議事録、長期修繕計画、
管理に係る重要事項調査報告書、登記事項証明書など、
複数の資料を突き合わせる必要があります。

実際、管理情報の開示に関するガイドラインでも
「情報が陳腐化し、誤った情報が開示される可能性」が明記されています。
重要事項説明書の記載内容を鵜呑みにするのではなく、
そこに記載された情報を手がかりに元の資料へ
さかのぼって整合性を確認する。

つまり、重要事項説明書は「結論」ではなく「索引」なのです。
重説をチェックポイントの一覧として使い、
管理規約・長期修繕計画・総会議事録・登記事項証明書と
いった元の資料にさかのぼって一つひとつ確認していく。
この地道な作業こそが、安全で確実な投資判断の土台になります。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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