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Q中古マンションを購入し、誤って新築の耐用年数で減価償却をしてしまいました。修正申告が必要ですか。

築37 年の区分マンションを購入したので、計算すると本来は耐用年数17 年で計算すべきところを勘違いして耐用年数47 年で計算し確定申告してしまいました。(本来より少ない償却費で申告してしまいました)幸いにもその年の償却期間は1 ヶ月だけでしたので6,000円ほどの差でしたが、今後の対応をどのようにするのが望ましいかを教えて下さい。
差額が少ないので修正申告せずに今年の確定申告から正規の計算をして申告すれば良いかと思ったのですが、その場合未償却残高が合わなくなるため何か他の仕訳を起こして去年の差額を相殺し未償却残高を合わせるべきでしょうか。それともやはり今からでも修正申告するのが良いでしょうか。

A

本事例のご質問はかなり難しい問題です。本来、中古の耐用年数を使えたのに、法定耐用年数を使用してしまったとのことですが、中古の耐用年数については、次のように規定されています。
『その資産の法定耐用年数によらずに、購入した中古資産の取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とすることができます。この場合、今後の使用可能期間を見積もることが困難なときは、次の算式で計算した簡便法による年数によることもできます。』中古の耐用年数とすることが『できる』と記載してあります。つまり、中古の耐用年数を使用するかしないかは、納税者の任意だということになるのです。払いすぎた税金を取り戻すためには「更正の請求」の手続きを行います。この手続きは、次の2つに該当する場合でないと、提出ができません。
(1)法令等に従っていなかったこと
(2)計算誤りがあること
本事例の場合、法令に従っていないことにはならず(簡便法の計算を選択しなかっただけで、法令には従っている)、計算誤りもないため、要件には該当しないと考えられます。次に、翌年の申告時に中古の耐用年数が使用することができるかという点については、下記の通達があり、こちらも難しいと言わざるを得ません。
(中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法 1-5-1)
中古資産についての「見積法」又は「簡便法」による耐用年数の算定は、その事業の用に供した事業年度においてすることができるのであるから当該事業年度においてその算定をしなかったときは、その後の事業年度においてはその算定をすることができないことに留意する。可能性があるものとしては、「耐用年数の短縮」の申請をすることですが、中古の耐用年数を選択しなかったことは、この申請の要件には、当てはまらず、「資産が陳腐化したこと」等を理由にしないとなりません。もともと機械などの資産を想定した制度なので、建物に適用するのは、ハードルが高いと思われます。
耐用年数の短縮制度(国税庁HPより) http://goo.gl/axyZEx
結論としては、正攻法で修正するのは、かなり難しいと思われます。