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高圧線が通っている土地は相続税評価を下げられる?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第255回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 電力会社の高圧線が通っています。
建物の高さに制限があると聞いていますが、
このような土地は、相続税の計算上、
評価額を下げることができるのでしょうか?

A
土地の上空に高圧線が通っている場合、
その土地は建物の建築に制限を受けることになり、
利用価値が低下します。
相続税の計算でも、一定の要件を満たせば、
評価額を下げることができます。

1.高圧線下地の減額の根拠
高圧線下の土地は、財産評価基本通達27-5で定める
「区分地上権に準ずる地役権」が設定された土地として、
評価額を減額することができます。

ここでいう高圧線とは、
電気設備に関する技術基準を定める省令上の
「特別高圧架空電線」、
つまり7,000ボルトを超える電気を送る架空電線のことです。
一般家庭に来ている電線は対象になりません。

なお、この権利は登記の有無を問いません。
登記がされていなくても、
電力会社との地役権設定契約書や、
線下補償料の支払いの記録などで建築制限の内容が確認できれば、
減額の対象となります。

2.減額の割合
高圧線下地の評価は、自用地評価額から、
建築制限の内容に応じた割合を乗じた金額を控除して計算します。
具体的な割合は次のとおりです。

①家屋の建築が全くできない場合
50%、または借地権割合のいずれか高い割合
②家屋の構造・用途等に制限を受ける場合
30%

例えば、自用地評価額が1億円、
家屋の建築が全くできず、
借地権割合が60%の地域にある土地の場合、
1億円×60%=6,000万円を控除し、
評価額は4,000万円となります。

ただし、市街化調整区域の純農地・純山林など、
もともと建物を建てられない土地は、
高圧線による減額は受けられません。
建築できないことがすでに評価に織り込まれているため、
重ねての減額は認められないのです。

3.土地全体?それとも一部分?
評価額の下げ幅で大きく差が出るのは
土地の「全体」が高圧線下となるか、
「一部分」だけかという点です。

土地全体が高圧線下にある場合は、
土地全体の自用地評価額に、
減額割合を乗じた金額を控除します。

一方、土地の一部だけが高圧線下にある場合は、
まず土地全体を1画地として評価したうえで、
そのうち建築制限を受ける部分だけを別に
1画地として計算した自用地評価額に、
減額割合を乗じた金額を控除します。

つまり、減額の効果が及ぶのは、
あくまで建築制限を受ける部分の面積分だけです。
高圧線が通っているからといって、
土地全体の評価が大きく下がるわけではないという点に注意が必要です。

4.倍率地域での二重減額に注意
路線価のない倍率地域では、
固定資産税評価額に倍率を乗じて土地を評価することになります。

ここで気をつけたいのは、
市町村によっては、
すでに固定資産税評価額の段階で、
高圧線下地としての減額を織り込んでいる場合があることです。

そのまま倍率を乗じて、
さらに評基通27-5の減額を行うと、
二重に減額することになってしまい、
税務調査で否認されるおそれがあります。

倍率地域の高圧線下地を評価する場合は、
市町村の資産税課に
「固定資産税評価額に高圧線下による減額が反映されているか」
を確認するようにしましょう。反映されている場合は、
減額がないものとした評価額に戻してから、
倍率と27-5の減額を順に計算することになります。

5.まとめ
高圧線が通っている土地は、
建築制限の内容に応じて30%または50%
(借地権割合のいずれか高い方)の減額ができます。
ただし、土地全体に及ぶのか一部だけかで下げ幅は大きく変わりますし、
倍率地域では二重減額に注意が必要です。
契約書や図面、補償料の支払い記録などで
建築制限の内容を確認したうえで、適切に評価しましょう。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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