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森広忠の名古屋大家道
第四回「大家さんの税務調査③-事実認定-」

読んでくださる方、ありがとうございます。
今年も一年よろしくお願いいたします。

皆さんお正月はいかがお過ごしだったでしょうか?
私は渡邊先生より少し年上なので、後厄(あとやく)の年が明け、
お正月は小1の息子とドッチボールのボールでキャッチボールをしたり、読書して過ごしておりました。

今回で最後になる、大家さんの税務調査。
最後は、税務調査における『事実認定』について書きたいと思います。

『事実認定』と言われても、聞きなれない言葉。

わかりやすく簡単に言い換えると税務調査における『ストーリー』のことです。

例えば、Aさんが売上を計上しない脱税(専門用語で「売上除外」という)
をして預金を隠していました。
そうすると、どこかに預金があり、○○銀行の預金通帳に売上に計上しなかった分が貯まっているはずだと「仮説」を立てます。図にすると以下のようになります。

この一連の「事実」が税務調査で認定されることが「事実認定」といわれています。

調査官は、お客様から入金したお金をAさんが脱税したとする。そうすると、使ってなければどこかにお金がなければならない。お金のありかが、○○銀行だった。というストーリー(仮説)を描きます。

○○銀行が、知人のBさん、とかAさんの奥さん、とか会社など、いろいろなパターンはありますが、基本は同じで「お金はどこへ消えたか?」の仮説をたてて、
事実を調べ、それを調査で認定するのが、「事実認定」ということです。

さて、私が過去に立ち会った60代の大家さんの税務調査に話を戻しますと、
利益が出て貯まっているはずが、預貯金が少ない。
どこかにお金が流れているのではないか?
流れているならば、「お金はどこに消えたか?」というのが調査の最後の内容になりました。

こわもての調査官は調査済みでした。
これは私の推測ですが、調査官は
「多分、子供さんの家を建てるのに使われたのではないか」と仮説を立てて子供さんの年齢や給与の金額から貯金額(子供さん名義の預金通帳)を調べ、
預金額から、家・土地の支払いにローンを組まずに
「こんなに払えるわけがない」
と調査し、贈与ではないかと調査でぶつけて認定をとりました。
調査を受けた大家さんは、贈与の認識がなく、お金を渡してしまったとあっさり認め、修正に応じて贈与税を支払うことになりました。
調査官が調べた、事実が認定されてしまったという結末でした。

こういったことでも、建築前に税理士にご相談いただければベターな方法をアドバイスできたのですが、調査に入ってから相談を受けたのでは、なんとも仕方がありませんでした。

反対に「事実認定」が間違っている場合も立ち会った経験があります。
調査官がよく調べずに、「お金はどこへ消えたか?」の仮説をたて、税金を多くするのに都合がよい「事実認定」を求める場合もありました。

そういった場合は、こちらの事実をハッキリのべて調査に対抗し、
反論し、証拠を提出するのも税理士の務めだと私は思っています。

まとめ

・「事実認定」というのは税務調査における「ストーリー」のこと
・「事実認定」の一番のテーマは「お金はどこへ消えたか?」になる
・「事実認定」は、あっている場合も、あっていない場合もある
あっていない「仮説」を突き付けられたら、
こちらの「事実」をのべて反論するのも大切になる

注意:ブログの内容は私見を伴う部分が多く含まれております。判断を求める際は税務署または顧問税理士への確認をお願いします。なお内容は守秘義務に反しないように内容をぼかして記載しております。

ABOUT ME
森広忠
森広忠
名古屋市出身、名古屋経済大学大学院卒業後、2008(平成20)年シンプルタックス森会計【森広忠税理士事務所】設立。税理士として、個人事業・中小企業の顧問を行う。実家が古くからある地主で、不動産賃貸業をアパート、貸倉庫、貸地、貸家、月極駐車場で営んだ経験あり。 顧問先に不動産賃貸業者が多く、不動産・不動産管理会社を利用した所得税・法人税・相続税の節税相談の経験が多くある。
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