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【第123回】弁護士 関 義之が斬る!     「弁護士が語る 民事執行法の改正について」その4

●①不動産に係る情報の取得手続

こんにちは。弁護士の関です。

前回から、新しく新設された第三者からの情報取得手続について解説しています。
今回は、①不動産に係る情報と②給与債権に係る情報の取得手続について解説します。

まず、①不動産に係る情報ですが、法務省令で定める登記所に対して、
債務者の不動産に関する情報の開示を求めることができるようになりました。
具体的には、土地や建物等があるかないか、
ある場合にはその土地等を特定するに足りる事項を調べることができます。

債務者が不動産を所有していることがわかれば、
その不動産の強制執行(競売)を申し立てることができます。
これまで、債務者の不動産を調べる場合には、
債務者の関連する住所地を調べ、その後、登記所で、
その住所地の不動産登記事項(共同担保目録を含む)を調べ、
所有者がだれかをチェックしていました。
登記所では、それ以上に、所有者の名前で(人単位で)
不動産を調べることはできません。
大家さんとしては、居住用の賃貸物件の場合、
賃借人が他に所有する不動産を調べるのはなかなか難しいのが実情です。

それが、今回の民事執行法の改正により、
賃借人の名前で所有している不動産を網羅的に調べることができるようになります。

なお、この手続は、前回説明した③預貯金債権等に係る情報とは異なり、
先行して財産開示手続を行う必要がありますのでご注意ください。

また、この手続についてはまだ施行になっておらず、
改正法の公布日から起算して2年を超えない範囲内(令和3年5月16日まで)
において政令で定める日までの間は申し立てできません。

●②給与債権に係る情報の取得

次に、②給与債権に係る情報ですが、
市町村(特別区を含む)や厚生年金保険の実施機関(日本年金機構、国家公務員共済組合、
地方公務員共済組合等)に対して、債務者の勤務先に関する情報の開示を
求めることができるようになりました。

具体的には、給与(報酬又は賞与)の支払をする者がいるかいないか、
いる場合にはその者の氏名又は名称及び住所(その者が国である場合にあっては、
債務者の所属する部局の名称及び所在地)を調べることができます。

債務者の給与債権に対して強制執行を申し立てる場合、
勤務先の氏名又は名称及び住所を具体的に特定しなければなりませんが、
今回の改正より、その勤務先の情報を調査することができるようになったのです。

ただし、この給与債権に係る情報の取得手続を利用できるのは、
養育費その他の扶養義務に係る請求権か、人の生命もしくは身体の侵害に
よる損害賠償請求権を有する債権者に限られます。
従って、大家さんの未払賃料請求の場合には利用できませんのでご注意ください。

また、この手続も、②不動産に係る情報と同じく、
先行して財産開示手続を行う必要があります。

以上で民事執行法の改正の解説を終わりますが、
いずれも裁判所の手続ですので、                                                                    実際の申立て等にあたっては弁護士に相談するとよいでしょう。

 

 

ABOUT ME
関 義之
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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