東京の中心で税務を叫ぶ 第224回コラム
合同会社の意外な落とし穴〜1人1票ルールに要注意?
合同会社の意外な落とし穴〜1人1票ルールに要注意?
についてお話しします!
こんにちは!
以前のコラムでは、
合同会社は「出資者=経営者」なので、
子供を会社に入れるだけでも持分の贈与が必要になる、
というお話をしました。
実は、合同会社にはもう一つ、
家族で法人化した大家さんが後から気づいて
青ざめるポイントがあります。
それが「1人1議決権」というルールです。
「出資額に関係なく、1人1票」
——この一文の意味を知らないと、
いつの間にか自分の会社なのに
自分の意見が通らない、
ということが起こり得るんです。
株式会社と合同会社、多数決のルールが違う
会社の重要事項を決めるとき、
多数決を取りますよね。
このときの「1票」の数え方が、
株式会社と合同会社ではまったく違います。
・株式会社:1株1議決権(出したお金の分だけ発言権がある)
・合同会社:1人1議決権(出した額に関係なく、1人につき1票)
株式会社は、100万円出した人と1,000万円出した人では、1
0倍の差がつきます。
ところが合同会社は、
いくら出そうが1人は1人。
100万円の人も1,000万円の人も、
同じ1票なんです。
「え、そんなの不公平じゃないですか?
」——そう思いますよね。でもこれが会社法のルールなんです。
Aさん一家に起きたこと
具体例で見てみましょう。
大家のAさん(父)は、
賃貸経営を法人化するにあたり、
息子2人(BさんとCさん)と
一緒に合同会社を立ち上げました。出資はこうです。
・Aさん(父):900万円
・Bさん(長男):50万円
・Cさん(次男):50万円
出資比率でいえば、Aさんが90%のオーナーです。
ふつうに考えれば、
Aさんの意思で会社を動かせるはずですよね。
ところが、合同会社の議決権はこうなります。
・Aさん:1票
・Bさん:1票
・Cさん:1票
つまり、BさんとCさんが結託すれば、
2対1でAさんの意思は通らないんです。
900万円出したAさんが、
会社の重要事項で少数派になってしまう。
考えてみると、なかなか怖いルールですよね。
「うちの家族に限って」が一番危ない
「息子たちが結託して父に逆らうなんて、
うちに限ってあり得ない」
——そう思う方が多いのではないでしょうか?
たしかに、設立当初は皆で仲良く始めます。
でも、時間が経つと家族関係は変わっていきます。
結婚してお嫁さんの意見が入る、
兄弟で仕事の考え方が違ってくる、
相続をめぐって微妙な空気になる……。
10年後、20年後にどうなっているかは、
誰にもわかりません。
だからこそ、元気なうちにルールをきちんと決めておくことが大切なんです。
解決策:定款で「出資割合に応じた議決権」に
救いはあります。
合同会社は定款(会社の基本ルールブック)の自由度が高いので、
定款で「議決権は出資割合に応じる」と定めておけば、
株式会社と同じような設計にできるんです。
つまり、Aさんの例なら、
定款に一文入れておくだけで、
Aさん90票・Bさん5票・Cさん5票、
という配分にできます。
ただし、これは最初の定款設計でやっておくのが基本です。
あとから変更しようとすると、
社員全員の同意が必要になり、
揉めそうなときほど動かしにくくなります。
会社の形は「入口」がすべて
合同会社は、たしかに設立費用が安く、
手続きもシンプルです。
でも、その気軽さに惹かれて
「とりあえず合同会社で」と作ってしまうと、
こういうルールが後から効いてきます。
大家さんの法人は、
賃貸経営という長く続く事業を入れる器です。
器の形が悪ければ、中身をどれだけ育てても動かしづらくなります。
設立時に少しコストや手間をかけてでも、
定款までしっかり設計しておくこと。
それが後々の手残りと経営の
自由度を守ることにつながります。
1.合同会社は「1人1議決権」が原則。
出資額に関係なく、1人1票
2.家族で作ると、
少数出資の家族が結託して多数派になり、
大株主のはずの人が少数派になるリスクがある
3.定款で「出資割合に応じた議決権」
と定めておけば回避できる。
最初の設計が肝心
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。





